可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(隣に座ってください、なんて言ったらさすがにだめだと思って言わなかったのだけれど……彼、もしかして子供との接し方に、全然慣れてないの?)

 それは思ってもみなかった誤算だった。

 帰宅した際にアリムを抱き上げる仕草は自然だったし、二人で過ごす時間も設けられている。

 その間にアイリスは自分の仕事を片付けるわけだが――。

(そもそもあの状態で、大公様、子供との遊びに付き合えるのかしら?)

 想像もしていなかった問題が頭に浮かぶ。

「奥様、いかがされましたか?」

 鏡越し――ではなく、直に横から顔を覗き込まれて、アイリスは「わぁーっ」と声が出てしまった。

 覗き込んだメイドが、驚いて姿勢を伸ばす。

「も、申し訳ございませんっ。ものすごく百面相されていましたものでっ」
「え」

 よく見れば、メイドの表情は心配そうだ。

 彼女の後ろでベッドを整えているメイドたちのほうを確認してみと、必死に顔を背けているが、口元が緩んでいる。

(嘘……私ってもしかして、顔に出やすい?)
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