恋は手のひらの上で
••┈┈┈┈••

机の上の書類を何度も触る手が止まったり動いたり。

あれ、ペン、どこだっけ。
バッグの中をごそごそ探す。

手帳も見当たらず、小さくため息。

それからスマホも、さっき触っていたはずなのにどこにもない。


ずっと落ち着かない私の様子の隣に、馴染みのある顔が並んで「おつかれー」と声をかけてきた。

「今日、承認おりたんだってね」

同期の紗英だった。

「そうなの。ようやく、ひと段落」

「おめでとう。本当によかったね」

笑顔で祝福してくれて、私も手を止めて笑い返す。

「なんとかなったよ」

「─────で?」

「“で?”とは?」

はたと私の手が止まる。

「さっきから何してるの?」

「あー…」

どうやら、私が色々と探し物をしているのを見ていたらしい。
帰社してからずっとあれがない、これがない、とバッグをひっくり返していた。


「愛用のペンと、手帳が見つからなくて。あと、スマホも…」

苦笑いして正直に言うと、紗英の鋭い目がきらりと光ったような気がした。彼女が手を伸ばす。
私のデスクに開かれたノートパソコンの後ろから、次々と手帳、ペン、スマホが出てきた。

「ボケてる?」

「…ボケてる」

普通に机に置いてあったという事実に驚く。
紗英は大笑いしていた。

「どうしたのー?高橋に好きって言われたとか?」

手に持っていたペンがくるくると飛んでいった。

「ちょっと!まさか図星?」

「ち、違う違う!」

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