恋は手のひらの上で
「頭の中はいつも仕事のことばっかり考えてそう」
「そんなこともないですよ」
「絶対そうです」
「俺の頭の中、分かるんですか?」
「なんとなく分かりますよ」
自分で言って、自分で笑う。
まだ酔ってない。はず。たぶん。
フォークでチーズを刺そうとして、少し外す。
「なんか今日ちょっと、私、挙動がおかしい」
やっとフォークが通ったところで、彼がふっと笑った。
「普段から、多少はおかしいですよ」
「多少!?」
声がひとつ上がる。
「多少ってなんですか。そんなに危なっかしいですか?」
「危なっかしいというより」
そこで、彼はほんの一瞬だけ言葉を選ぶ。
「放っておけない、というか」
時間が、ぴたりと止まる。
「…それ、いま言います?」
自分の声が少し小さいことに気づく。
「事実なので」
またビールを飲む。完璧な角度。
私はワインを一口飲んで、ごまかす。もうグラスは空になりそう。
味は、さっきより少しだけ甘い気がした。
私の置いたグラスに気づいた椎名さんが、すぐにメニューを差し出してくる。
「なにか頼みますか?」
「はい、ありがとうございます。椎名さんは?」
「俺はまたビールにします」
彼はビールが好きなのか、ずっとビールだ。
私もワインばかり飲んでいるが。
緊張していた気持ちも、次のグラスが届く頃にはかなり落ち着いていた。
「そんなこともないですよ」
「絶対そうです」
「俺の頭の中、分かるんですか?」
「なんとなく分かりますよ」
自分で言って、自分で笑う。
まだ酔ってない。はず。たぶん。
フォークでチーズを刺そうとして、少し外す。
「なんか今日ちょっと、私、挙動がおかしい」
やっとフォークが通ったところで、彼がふっと笑った。
「普段から、多少はおかしいですよ」
「多少!?」
声がひとつ上がる。
「多少ってなんですか。そんなに危なっかしいですか?」
「危なっかしいというより」
そこで、彼はほんの一瞬だけ言葉を選ぶ。
「放っておけない、というか」
時間が、ぴたりと止まる。
「…それ、いま言います?」
自分の声が少し小さいことに気づく。
「事実なので」
またビールを飲む。完璧な角度。
私はワインを一口飲んで、ごまかす。もうグラスは空になりそう。
味は、さっきより少しだけ甘い気がした。
私の置いたグラスに気づいた椎名さんが、すぐにメニューを差し出してくる。
「なにか頼みますか?」
「はい、ありがとうございます。椎名さんは?」
「俺はまたビールにします」
彼はビールが好きなのか、ずっとビールだ。
私もワインばかり飲んでいるが。
緊張していた気持ちも、次のグラスが届く頃にはかなり落ち着いていた。