恋は手のひらの上で
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会社に着くと、まだ朝の空気がひんやりしていた。

パソコンを立ち上げ、資料を確認する。
今日やるべきことの一つは、東央ヘルスケアへの連絡だ。


あのどうしようもないラインの文面を思い出して、受話器を取る手がためらう。

まだ残る頭痛よりも、彼にどう思われたかの方が気にかかった。

メールにしようか、と一度は思う。
でも無駄な往復をするくらいなら、電話で数分話した方が早い。

思い切って受話器を取る。
ここ数ヶ月で慣れた番号を押した。

淡々と。
今は仕事の顔で。

すぐに本人が出る。

『はい、東央ヘルスケア椎名です』

昨日、夜を一緒に過ごした人の声が耳元で聞こえて、胸がどきりと弾んだ。

それでも、なるべくいつも通りに言う。

「おはようございます。朝比奈化粧品の西野です」

『おはようございます、西野さん。昨日の資料、確認しました。その件ですね?』

話が早い。
昨日送った資料を、もう読んでいたらしい。

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