恋は手のひらの上で
シリーズ化という言葉に浸っていると、ふとさっきまでとは違うちょっと声をひそめた彼の声が聞こえた。

『あと』

「はい?」

『最近、忙しいですよね』

少し驚きながらも、うなずく。

「はい…そうですね」

『ずっと会えなくて、ごめん』

どきっと心臓が鳴った。
今のは、たぶん仕事の彼ではない。おそらく、“恋人として”の彼だ。

『そろそろ落ち着いてくる頃だとは思うんだけど』

仕事の話じゃない。絶対に違う。
少しだけくすぐったい感覚を覚える。

「はい」

そっちの方が嬉しくて、思わずふふっと笑った。

「連絡、待ってます」

電話を切って、私はしばらくスマホを見つめていた。


シリーズ化するかもしれない。

『ずっと会えなくて、ごめん』

どちらの言葉も、天秤にかけられないくらい嬉しかった。


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