恋は手のひらの上で
久しぶりに隣にいる。
それだけで、胸の奥が少しだけ落ち着かなくなる。
車は静かに夜の街を走っていた。
窓の外の光が、ゆっくり流れていく。
私はシートベルトを触りながら、少しだけ椎名さんの方を見る。
久しぶりだ。
こうして、二人でいるの。
「今日は誰と飲んでたんですか?」
椎名さんが不意に聞いてきたので、ちょっと肩をすくめた。
「紗英と麻耶と。あの時、乱入してきた同期の二人です」
「あぁ…」
ハンドルを握り直した彼の仕草を見て、おそらく思い出したんだろうなと分かる。
“あの時”っていうだけで、伝わってしまう。
「仲良いんですね」
「はい。なんだかんだ、楽しいですよ」
ツッコミは厳しいけれど。
「でも」
私は窓の外を見る。
「ちょっと愚痴ってました」
「愚痴?なんの?」
椎名さんがちらっとこちらを見る。
どう伝えようか考えたものの、回りくどいのは嫌だった。
「会えてないって」
ありのまま言ってよかったのか、正解はたぶんない。
だけど、隠したって意味がないと思った。
「“すみません”とか、“ごめん”とか、謝らないでくださいね」
前置きした上で、青く照らされている彼の横顔を見つめる。
信号にちっとも引っかからない青ばかりの信号を、椎名さんはまっすぐ見ていた。
それだけで、胸の奥が少しだけ落ち着かなくなる。
車は静かに夜の街を走っていた。
窓の外の光が、ゆっくり流れていく。
私はシートベルトを触りながら、少しだけ椎名さんの方を見る。
久しぶりだ。
こうして、二人でいるの。
「今日は誰と飲んでたんですか?」
椎名さんが不意に聞いてきたので、ちょっと肩をすくめた。
「紗英と麻耶と。あの時、乱入してきた同期の二人です」
「あぁ…」
ハンドルを握り直した彼の仕草を見て、おそらく思い出したんだろうなと分かる。
“あの時”っていうだけで、伝わってしまう。
「仲良いんですね」
「はい。なんだかんだ、楽しいですよ」
ツッコミは厳しいけれど。
「でも」
私は窓の外を見る。
「ちょっと愚痴ってました」
「愚痴?なんの?」
椎名さんがちらっとこちらを見る。
どう伝えようか考えたものの、回りくどいのは嫌だった。
「会えてないって」
ありのまま言ってよかったのか、正解はたぶんない。
だけど、隠したって意味がないと思った。
「“すみません”とか、“ごめん”とか、謝らないでくださいね」
前置きした上で、青く照らされている彼の横顔を見つめる。
信号にちっとも引っかからない青ばかりの信号を、椎名さんはまっすぐ見ていた。