恋は手のひらの上で
その時、私は初めて彼の知らない一面を知る。
彼だって、ロボットじゃない。
仕事人間に見えていたけど、そうではない。

私のこと、ちゃんと好きなんだ。

そう思ったら、愛しい気持ちが広がっていった。

「西野さんは」

彼はマグカップを置くと、私の顔を覗き込んできた。

「忙しくても、“会いたい”って言ったら、来てくれます?」

試してる顔じゃない。
ただ、温度を測っている。
同じ熱を持っているかどうかの、確認。

私は思わず笑ってしまった。

「今、来てるじゃないですか」

それにね、と続ける。

「私、自信あるんですよ」

「なんの?」

「私の方がたぶん、会いたいってたくさん言っちゃう自信」

言ってから、ん?と思い直す。
私、たぶん今、けっこうすごいセリフを放ったような。


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