恋は手のひらの上で
感覚で私の意図が伝わったのか、唇が離れる。
息が上がっている私を、彼はにやりと笑ってみていた。
…この余裕が、本当に悔しい。でもかなわない。
彼はやさしく、私の手をそっと包んだ。
指先を確かめるみたいに、ゆっくりなぞる。
やっぱり、きれいな手だ。
最初に会ったとき、名刺より先に目に入ったのも、間違いなくこの手だった。
後ろにあるベッドに引き上げられる。
私の乱れた髪の毛を、彼の手が撫でるように梳く。
「西野さん」
低い声で呼ばれて、返事をしそうになって、やめる。
私は少し息を整えて言う。
「…仕事みたいだから」
椎名さんが少し首をかしげる。
「名前、呼んでください」
一瞬だけ沈黙。
それから、椎名さんが少しだけ笑った。
「芽依さん」
その呼び方だけで、もうすでにパンクしそうな心臓がさらに脈打つ。
私は小さく息をついた。
「…はい」
すると椎名さんが静かに言う。
「じゃあ芽依さんも」
指先がまだ私の手を包んでいる。
「俺のこと、名前で呼んでくれます?」
名前。
そういえば、今まで一度も呼んだことがない。
“椎名さん”。ずっと、そう呼んでいた。
私は少しだけ視線を落とす。
包まれている手。
きれいな指。
私は小さく息を吸った。
「…榛人さん」
その名前を口にした瞬間。
椎名さんの手が、少しだけ強く私の手を包んだ。
「はい」
息が上がっている私を、彼はにやりと笑ってみていた。
…この余裕が、本当に悔しい。でもかなわない。
彼はやさしく、私の手をそっと包んだ。
指先を確かめるみたいに、ゆっくりなぞる。
やっぱり、きれいな手だ。
最初に会ったとき、名刺より先に目に入ったのも、間違いなくこの手だった。
後ろにあるベッドに引き上げられる。
私の乱れた髪の毛を、彼の手が撫でるように梳く。
「西野さん」
低い声で呼ばれて、返事をしそうになって、やめる。
私は少し息を整えて言う。
「…仕事みたいだから」
椎名さんが少し首をかしげる。
「名前、呼んでください」
一瞬だけ沈黙。
それから、椎名さんが少しだけ笑った。
「芽依さん」
その呼び方だけで、もうすでにパンクしそうな心臓がさらに脈打つ。
私は小さく息をついた。
「…はい」
すると椎名さんが静かに言う。
「じゃあ芽依さんも」
指先がまだ私の手を包んでいる。
「俺のこと、名前で呼んでくれます?」
名前。
そういえば、今まで一度も呼んだことがない。
“椎名さん”。ずっと、そう呼んでいた。
私は少しだけ視線を落とす。
包まれている手。
きれいな指。
私は小さく息を吸った。
「…榛人さん」
その名前を口にした瞬間。
椎名さんの手が、少しだけ強く私の手を包んだ。
「はい」