恋は手のひらの上で
••┈┈┈┈••

ゆっくり目を開ける。
見慣れない白い天井…じゃない。

この白を、私は知っている。


榛人さんの部屋だ。

昨日のことが、少しずつ思い出される。
顔が熱くなる。

私はそっと体を起こした。
部屋は静かだった。


カタン、と音がして、キッチンの方からコーヒーの香りがする。

そして、足音。

「あ、起きました?」

振り向くと、榛人さんがマグカップを持って立っていた。

初めて見る、彼の私服。
サイズ感のちょうどいい、カジュアルな服。
スーツとはまた全然違って、デニムもよく似合っている。

完全に朝の人だ。


私は思わず言った。

「…コーヒーください」

榛人さんが少し笑う。

「はい」

私は少しだけ考えてから続ける。

「あと、手も」

一瞬沈黙。
榛人さんが眉を上げる。

「…芽依さん」

「はい」

「昨日、あんなに触ったのに?」


すんなり返されて、言葉に詰まる。
顔がとんでもなく熱い。

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