恋は手のひらの上で
椎名さんの視線が画面越しでも私に向かうのが分かる。
無表情なのに、その目に吸い込まれそうだった。
日差しのせいで、なおさら瞳が茶色く見えた。

私の回答を受けて、黒田さんがうなずく。

『なるほど……西野さんの設計意図、理解しました。妥当ですね』

それを聞いて、小さくほっと息をつく。
冷静に答えているつもりでも、心臓は少し速くなっている。

「…ありがとうございます」


ほっとしたのもつかの間。

次は久我さんが手元のノートにメモを取りつつ質問してきた。

『初期テストのCTR、CVR、レビュー誘導率の相関はどう分析していますか?ABテストのサンプルサイズは十分ですか?』

私はまたスライドの数字を示しながら説明する。

「CTRは平均2.8%、CVRは初期で3.7%です。レビュー誘導率は0.9%で、ターゲット層別の差異はほとんどありません。サンプルサイズは次週までに拡大予定です」

すると、間髪入れず、椎名さんの確認のような問いが入る。

『西野さん。上代三千円を基準にした場合、ROIにどの程度余裕があるか、粗利率の変動はどこまで許容可能ですか?』


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