恋は手のひらの上で
その後も会議は一時間ほど続き、画面越しの話し合いもそろそろ終盤に差しかかる。
椎名さんが資料に目を落としつつ、淡々と口を開いた。
『西野さん、次の会議はそちらのオフィスで行うことになります。直接、現場の数字も確認したいので、訪問させていただきますね』
思わず心臓が跳ねるのを感じた。
「は、はい」
『できればそちらである程度の流れが話し合えたら、その後は現場にも行くようになると思いますので、日程調整していきましょう。よろしくお願いします』
あちらはまったく動揺などするはずがなく、連絡事項のような言葉を述べているが、私は返事をするたびに声が少し震えそうになっていた。
深呼吸して落ち着こうとするけれど、まだ心臓は跳ねたままだ。
椎名さんの冷静な声と、穏やかにこちらを見つめる顔だけで、こんなに動揺するなんて自分でも驚く。
「分かりました。準備しておきます」
悟られないように、いたって普通の温度で返事をすると、椎名さんは微かにうなずき、資料の最終確認に戻る。
私はしばらく、画面に映る椎名さんの真剣な表情を見つめたままだった。
机の上のノートパソコンの縁を指でなぞり、心の中で小さな期待が膨らむ。
─────そっか。直接会えるのか。
その想いだけで、午後のリモート会議の緊張感が少しずつほどけていくようだった。
椎名さんが資料に目を落としつつ、淡々と口を開いた。
『西野さん、次の会議はそちらのオフィスで行うことになります。直接、現場の数字も確認したいので、訪問させていただきますね』
思わず心臓が跳ねるのを感じた。
「は、はい」
『できればそちらである程度の流れが話し合えたら、その後は現場にも行くようになると思いますので、日程調整していきましょう。よろしくお願いします』
あちらはまったく動揺などするはずがなく、連絡事項のような言葉を述べているが、私は返事をするたびに声が少し震えそうになっていた。
深呼吸して落ち着こうとするけれど、まだ心臓は跳ねたままだ。
椎名さんの冷静な声と、穏やかにこちらを見つめる顔だけで、こんなに動揺するなんて自分でも驚く。
「分かりました。準備しておきます」
悟られないように、いたって普通の温度で返事をすると、椎名さんは微かにうなずき、資料の最終確認に戻る。
私はしばらく、画面に映る椎名さんの真剣な表情を見つめたままだった。
机の上のノートパソコンの縁を指でなぞり、心の中で小さな期待が膨らむ。
─────そっか。直接会えるのか。
その想いだけで、午後のリモート会議の緊張感が少しずつほどけていくようだった。