恋は手のひらの上で
指の隙間からこぼれ落ちそうだった感情とは違う。
これは、逃してはいけない違和感。
確信には至らない。
ここで言うべきか、言わない方がいいのか。
迷っているうちに、高橋が横で言う。
「目標値内だし、大丈夫そうだな」
もう、次の場所へ行こうとしている高橋が私の肩から手を離す。
…どうしよう。この違和感を、伝えるべきか。
迷いが声に出ない。
「西野さん?」
やけにはっきりと、椎名さんに呼ばれた。
はっと顔を上げると、彼と目が合った。
その目は、しっかりと私を見ている。
「大丈夫ですか?なにか、気になることでも?」
私の迷いを、椎名さんは見逃さなかった。
見ていてくれた。
「えっ?なにかあった?」
慌てた様子で高橋が主任と戻ってくる。
私も確信は持てていないが、このジェルの感覚は“なにか違う”ことだけは分かる。
少し離れたところにいた椎名さんも、ちょっと心配そうな顔で近くまで来てくれた。
みんなに囲まれたこの状況で、申し訳ない気持ちも頭をかすめる。だがそんなことは言っていられない。
「…すみません。新しいサンプル、もう一ついただけますか?」
主任は「分かった」と手際よく準備する。
私はその場で手袋を外すのではなく、いったん廃棄して、新しい手袋をつけ直す。
新しいサンプルが届き、同じように少量取って指先で伸ばしてみた。
やはり、重い。本当にわずかではあるが。
「ちゃんと確認したいので、直接触れてもいいですか?」
ただならぬ私の空気を感じ取り、主任も神妙な面持ちでうなずいた。
許可を得たので、手袋を外して今度は素手でほんの少量、手に取る。
指の腹で、ゆっくり。
そして今度は、すぐにはっきり分かった。
違和感が確信へ変わった瞬間だった。
これは、逃してはいけない違和感。
確信には至らない。
ここで言うべきか、言わない方がいいのか。
迷っているうちに、高橋が横で言う。
「目標値内だし、大丈夫そうだな」
もう、次の場所へ行こうとしている高橋が私の肩から手を離す。
…どうしよう。この違和感を、伝えるべきか。
迷いが声に出ない。
「西野さん?」
やけにはっきりと、椎名さんに呼ばれた。
はっと顔を上げると、彼と目が合った。
その目は、しっかりと私を見ている。
「大丈夫ですか?なにか、気になることでも?」
私の迷いを、椎名さんは見逃さなかった。
見ていてくれた。
「えっ?なにかあった?」
慌てた様子で高橋が主任と戻ってくる。
私も確信は持てていないが、このジェルの感覚は“なにか違う”ことだけは分かる。
少し離れたところにいた椎名さんも、ちょっと心配そうな顔で近くまで来てくれた。
みんなに囲まれたこの状況で、申し訳ない気持ちも頭をかすめる。だがそんなことは言っていられない。
「…すみません。新しいサンプル、もう一ついただけますか?」
主任は「分かった」と手際よく準備する。
私はその場で手袋を外すのではなく、いったん廃棄して、新しい手袋をつけ直す。
新しいサンプルが届き、同じように少量取って指先で伸ばしてみた。
やはり、重い。本当にわずかではあるが。
「ちゃんと確認したいので、直接触れてもいいですか?」
ただならぬ私の空気を感じ取り、主任も神妙な面持ちでうなずいた。
許可を得たので、手袋を外して今度は素手でほんの少量、手に取る。
指の腹で、ゆっくり。
そして今度は、すぐにはっきり分かった。
違和感が確信へ変わった瞬間だった。