恋は手のひらの上で
••┈┈┈┈••
目が覚めたとき、最初に見えたのはフロントガラス越しの夜景だった。
都内特有の、少し白んだ光。
…あれ、さっきより、寒くない。
首も痛くない。
視線を落とす。
膝の上に、グレーのブランケット。
私の体には、椎名さんのものと思われるジャケットがかけられていた。
エアコンの吹き出し口は、私の方から少し外れている。
一瞬、何も考えられない。
私、いつからこれを?
記憶を辿る。
「ごめんなさい。電池が切れそうです」
そこから、ない。
胸の奥が、ゆっくり熱を持つ。
触れられたという実感はない。
でも確実に、触れられている。
起こさず、気づかせず、言いもしないで。
「……すみません」
声が少しかすれてしまった。
椎名さんは運転していたからか、声をかけたことで私が起きたことに気がついたらしい。
「よっぽど疲れてたんですね」
と、それだけ言う。
“かけましたよ”とは言わない。
私は柔らかいブランケットを触り、そして彼のジャケットをシワにならならいように震える手で整える。
「あの、色々と…ありがとうございます」
小さく言うと、「どういたしまして」という穏やかな声。
目が覚めたとき、最初に見えたのはフロントガラス越しの夜景だった。
都内特有の、少し白んだ光。
…あれ、さっきより、寒くない。
首も痛くない。
視線を落とす。
膝の上に、グレーのブランケット。
私の体には、椎名さんのものと思われるジャケットがかけられていた。
エアコンの吹き出し口は、私の方から少し外れている。
一瞬、何も考えられない。
私、いつからこれを?
記憶を辿る。
「ごめんなさい。電池が切れそうです」
そこから、ない。
胸の奥が、ゆっくり熱を持つ。
触れられたという実感はない。
でも確実に、触れられている。
起こさず、気づかせず、言いもしないで。
「……すみません」
声が少しかすれてしまった。
椎名さんは運転していたからか、声をかけたことで私が起きたことに気がついたらしい。
「よっぽど疲れてたんですね」
と、それだけ言う。
“かけましたよ”とは言わない。
私は柔らかいブランケットを触り、そして彼のジャケットをシワにならならいように震える手で整える。
「あの、色々と…ありがとうございます」
小さく言うと、「どういたしまして」という穏やかな声。