恋は手のひらの上で
─────え?
思わずくるりと運転席を見つめる。
「覚えてるんですか?」
「仕事のやり取りは、基本的に覚えています」
この人は、精密機器かなにかなのか?
「それだけですか?」
つい、意地悪を言ってしまった。
椎名さんの茶色の瞳が、信号待ちでこちらを向いた。
ドキッとするような視線の送り方に、なんとなく目が離せなくなる。
「それ以外に、何を覚えていると思いますか」
静かな問いかけ。
挑発でも冗談でもなく、私をちょっと試してるみたいだった。
私は慌てて視線を逸らす。
「…さあ」
胸の奥が、少しだけくすぐったい。
車は再び動き出す。椎名さんの目も、もう私のことは見ていなかった。
「寝てますよ、けっこう、しっかり。眠いと頭が回らないので」
と、続ける。
「ただ、返信は早い方がいいと思っているだけです」
「…どうしてですか?」
「待たせるのは、好きじゃないので」
さらっと言う。
仕事の話なのか、そうじゃないのか、分からないまま、私は小さく笑った。
思わずくるりと運転席を見つめる。
「覚えてるんですか?」
「仕事のやり取りは、基本的に覚えています」
この人は、精密機器かなにかなのか?
「それだけですか?」
つい、意地悪を言ってしまった。
椎名さんの茶色の瞳が、信号待ちでこちらを向いた。
ドキッとするような視線の送り方に、なんとなく目が離せなくなる。
「それ以外に、何を覚えていると思いますか」
静かな問いかけ。
挑発でも冗談でもなく、私をちょっと試してるみたいだった。
私は慌てて視線を逸らす。
「…さあ」
胸の奥が、少しだけくすぐったい。
車は再び動き出す。椎名さんの目も、もう私のことは見ていなかった。
「寝てますよ、けっこう、しっかり。眠いと頭が回らないので」
と、続ける。
「ただ、返信は早い方がいいと思っているだけです」
「…どうしてですか?」
「待たせるのは、好きじゃないので」
さらっと言う。
仕事の話なのか、そうじゃないのか、分からないまま、私は小さく笑った。