Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する
経済誌インタビュー掲載日

表紙は

「次世代不動産リーダー」

その特集ページ。

青山不動産・佐伯 旬。

プロジェクトの話。

再開発の思想。

都市の未来。

そして最後に、当然のように聞かれる。

「今回の入籍発表は、プロジェクトを見据えた戦略ですか?」

誌面に載った旬の言葉。



「数年前、彼女に交際を申し込む時に、結婚を前提にと申し込んでいました。」

記者も少し驚いたと書かれている。

旬は続ける。

「出会った時は彼女も、僕もお互いの素性を知りませんでしたから。
僕が青山不動産の息子じゃなくても、
彼女がMinoの社長じゃなくても、
結婚してましたよ。」

一行空いて。

「むしろ、もっと早くね。」


その一言で、空気が変わる。

戦略じゃない。

歩への牽制でもない。

“最初から決めていた”。

ただそれだけ。



◆ Minoオフィス

スタッフが雑誌を持ってくる。

「希さんこれ…」

希が読む。

その一文で、手が止まる。

「もっと早くね」

思わず笑ってしまう。

「ほんとにこの人は…」




◆ 兄弟グループLINE

圭祐
《最後の一文いる???》

広哉
《完全にのろけ》


《ブランド価値は上がった》



《事実》

既読が並ぶ。



◆ ロンドン

歩も記事を読む。

静かに。

最後の一文で、小さく笑う。

「負けたな」

でもその顔に陰はない。

旬は逃げない。

希も逃げない。

なら、自分も逃げない。

スマホを置いて、設計図を見る。

「よし」

今度は建築で語る番だ。



このインタビューで、

世間の空気は完全に変わる。

“元恋人と仕事”ではなく、

“結婚を前提に選び合った二人が、元恋人と仕事をする”。

順番が、意味を変える。

旬は守った。

希の立場も。

歩の立場も。

そして自分の誇りも。
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