Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する
「どうして上手くいかないんだろ…」
希の小さな独り言。
今日はちゃんとベッドに入る。
でも――
旬は背中を向けている。
広い背中。
こんなに近いのに、こんなに遠い。
希も背中を向ける。
手に取るスマホ。
無意識に開いたのは。
あの鍵垢。
二人だけの、はじまりの記録。
1つ目の投稿。
Nocturne。
偶然の再会。
あの夜の緊張。
震える指。
映画を観たけど隣が気になって内容が入ってこなかったこと。
スクロールする。
ドキドキした日々。
触れられただけで嬉しかった日。
返信ひとつで一喜一憂していた自分。
涙が、どんどん溢れてくる。
(あの時のほうが、繋がってた気がする)
片思いで苦しかった。
でも、心は一直線だった。
今は隣にいるのに、
どこか遠い。
結婚して、
手に入れたはずなのに、
なぜか不安。
涙が止まらない。
息が苦しい。
たまらず、ベッドから出てキッチンにいく。
静かな夜。
グラスに水を注ぐ音。
必死に涙を止める。
(大丈夫)
(私が弱いだけ)
深呼吸。
顔を洗う。
何事もなかった顔で、
寝室に戻ってそっと布団に入る。
旬は動かない。
寝ていると思った。
でも。
数分後。
低い声。
「……それ、まだ見てるんだ」
希の体が固まる。
振り向くと、
旬が起きている。
希の枕元にあるスマホ
画面はあの投稿。
そして、
涙で濡れた頬。
沈黙。
旬が起き上がる。
「泣いてるの、俺のせい?」
声は責めてない。
でも、不安が滲んでいる。
希、言葉が出ない。
旬が続ける。
「なんで昔の俺のほうがいいみたいな顔してるの?」
刺さる。
図星。
でも違う。
希は震える声で言う。
「違う」
「じゃあ何」
「今の方が…」
言葉が詰まる。
「今の方が、怖いの」
静寂。
旬の呼吸が止まる。
「ほんとに失うかもしれないって、旬の事失ったらって思うから」
ぽろぽろと涙が落ちる。
「片思いの時は、失う前提だった」
「今は、あるのに怖い」
旬の胸が締め付けられる。
自分も同じだったと気づく。
「最近、希が遠い気がして」
「嫌われたかと思った」
今度は希が固まる。
「なんで?」
「ソファで寝るし、仕事に逃げるし」
「俺に触れられると一瞬固まる」
全部見えてた。
希の声が震える。
「固まってたのは…」
「また迷われたら怖かったから」
希の小さな独り言。
今日はちゃんとベッドに入る。
でも――
旬は背中を向けている。
広い背中。
こんなに近いのに、こんなに遠い。
希も背中を向ける。
手に取るスマホ。
無意識に開いたのは。
あの鍵垢。
二人だけの、はじまりの記録。
1つ目の投稿。
Nocturne。
偶然の再会。
あの夜の緊張。
震える指。
映画を観たけど隣が気になって内容が入ってこなかったこと。
スクロールする。
ドキドキした日々。
触れられただけで嬉しかった日。
返信ひとつで一喜一憂していた自分。
涙が、どんどん溢れてくる。
(あの時のほうが、繋がってた気がする)
片思いで苦しかった。
でも、心は一直線だった。
今は隣にいるのに、
どこか遠い。
結婚して、
手に入れたはずなのに、
なぜか不安。
涙が止まらない。
息が苦しい。
たまらず、ベッドから出てキッチンにいく。
静かな夜。
グラスに水を注ぐ音。
必死に涙を止める。
(大丈夫)
(私が弱いだけ)
深呼吸。
顔を洗う。
何事もなかった顔で、
寝室に戻ってそっと布団に入る。
旬は動かない。
寝ていると思った。
でも。
数分後。
低い声。
「……それ、まだ見てるんだ」
希の体が固まる。
振り向くと、
旬が起きている。
希の枕元にあるスマホ
画面はあの投稿。
そして、
涙で濡れた頬。
沈黙。
旬が起き上がる。
「泣いてるの、俺のせい?」
声は責めてない。
でも、不安が滲んでいる。
希、言葉が出ない。
旬が続ける。
「なんで昔の俺のほうがいいみたいな顔してるの?」
刺さる。
図星。
でも違う。
希は震える声で言う。
「違う」
「じゃあ何」
「今の方が…」
言葉が詰まる。
「今の方が、怖いの」
静寂。
旬の呼吸が止まる。
「ほんとに失うかもしれないって、旬の事失ったらって思うから」
ぽろぽろと涙が落ちる。
「片思いの時は、失う前提だった」
「今は、あるのに怖い」
旬の胸が締め付けられる。
自分も同じだったと気づく。
「最近、希が遠い気がして」
「嫌われたかと思った」
今度は希が固まる。
「なんで?」
「ソファで寝るし、仕事に逃げるし」
「俺に触れられると一瞬固まる」
全部見えてた。
希の声が震える。
「固まってたのは…」
「また迷われたら怖かったから」