Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する
最終話
旬は浅い眠りのまま目を開ける。
腕が重い。
見ると、
希がぴったりくっついたまま眠っている。
髪が頬にかかっている。
昨夜のワインの匂いが少しだけ残ってる。
旬が静かに笑う。
そっと髪を耳にかける。
その気配で、
希が薄く目を開けた。
「……おはよ」
掠れた声。
「おはよ」
まだ半分眠ったまま、
希が旬の胸に顔を埋める。
「今日仕事?」
「昼から」
「そっか……」
安心したみたいに、
また目を閉じる。
旬がその頭を撫でる。
当たり前みたいに。
自然に。
少しして。
希がふいに呟く。
「ねぇ旬」
「ん?」
「ちゃんと幸せだね、私たち」
静かな声。
確認するみたいに。
旬は少しだけ考えて、
それから笑う。
「うん」
短い。
でも迷いがない。
窓の外東京の朝が慌ただしく街が動き出していく。
でもこの部屋だけは、
まだ少し静かで、
あたたかい。
旬は希を抱き寄せる。
希も当たり前みたいに抱きつく。
もう、
“片思いみたいな恋”じゃない。
帰る場所になった。
「ねぇ」
「ん?」
「結婚式終わったらさ」
「うん」
「どっか旅行行こうよ」
旬が笑う。
「いいね」
「仕事は?」
希が目を閉じたまま笑う。
「……なんとかなるでしょ」
旬が吹き出す。
その笑い声に、
希もつられて笑う。
希が旬の胸に頬を寄せたまま、ぽつりと言う。
「また冬の北海道行きたいな」
旬が髪を撫でる。
「あのとき、初めての旅行ですっごく緊張した」
思い出したみたいに笑う。
雪。
冷たい空気。
並んで歩いた雪道。
まだ今みたいに触れることにも慣れてなかった頃。
旬も小さく笑う。
「俺も」
希が少し顔を上げる。
「なんかさ、あれからちゃんと続いてて良かったね」
静かな声。
何気ない言葉なのに、
長い時間が滲んでる。
旬は少しだけ目を細める。
「あの時知らなかった希のこと、色々知ったよね」
そして、わざとらしく考えるふりをする。
「俺、もう全部知ってる?」
茶化すような声。
希が吹き出す。
「もう何もかも知ってるでしょ?」
少し笑ってから続ける。
「旬のことの方が、まだ知らないことありそうだよ」
旬が眉を上げる。
「まだある?」
「あるある」
「例えば?」
「秘密」
希がくすっと笑う。
旬もつられて笑う。
柔らかい朝。
特別じゃない。
でも、
二人がずっと欲しかった日常。
旬は笑いながら、
眠そうな希の頭を撫でる。
あの時みたいに、
必死に恋を追いかけなくても。
もう、不安はない。
ずっと、隣にいる。
旬は浅い眠りのまま目を開ける。
腕が重い。
見ると、
希がぴったりくっついたまま眠っている。
髪が頬にかかっている。
昨夜のワインの匂いが少しだけ残ってる。
旬が静かに笑う。
そっと髪を耳にかける。
その気配で、
希が薄く目を開けた。
「……おはよ」
掠れた声。
「おはよ」
まだ半分眠ったまま、
希が旬の胸に顔を埋める。
「今日仕事?」
「昼から」
「そっか……」
安心したみたいに、
また目を閉じる。
旬がその頭を撫でる。
当たり前みたいに。
自然に。
少しして。
希がふいに呟く。
「ねぇ旬」
「ん?」
「ちゃんと幸せだね、私たち」
静かな声。
確認するみたいに。
旬は少しだけ考えて、
それから笑う。
「うん」
短い。
でも迷いがない。
窓の外東京の朝が慌ただしく街が動き出していく。
でもこの部屋だけは、
まだ少し静かで、
あたたかい。
旬は希を抱き寄せる。
希も当たり前みたいに抱きつく。
もう、
“片思いみたいな恋”じゃない。
帰る場所になった。
「ねぇ」
「ん?」
「結婚式終わったらさ」
「うん」
「どっか旅行行こうよ」
旬が笑う。
「いいね」
「仕事は?」
希が目を閉じたまま笑う。
「……なんとかなるでしょ」
旬が吹き出す。
その笑い声に、
希もつられて笑う。
希が旬の胸に頬を寄せたまま、ぽつりと言う。
「また冬の北海道行きたいな」
旬が髪を撫でる。
「あのとき、初めての旅行ですっごく緊張した」
思い出したみたいに笑う。
雪。
冷たい空気。
並んで歩いた雪道。
まだ今みたいに触れることにも慣れてなかった頃。
旬も小さく笑う。
「俺も」
希が少し顔を上げる。
「なんかさ、あれからちゃんと続いてて良かったね」
静かな声。
何気ない言葉なのに、
長い時間が滲んでる。
旬は少しだけ目を細める。
「あの時知らなかった希のこと、色々知ったよね」
そして、わざとらしく考えるふりをする。
「俺、もう全部知ってる?」
茶化すような声。
希が吹き出す。
「もう何もかも知ってるでしょ?」
少し笑ってから続ける。
「旬のことの方が、まだ知らないことありそうだよ」
旬が眉を上げる。
「まだある?」
「あるある」
「例えば?」
「秘密」
希がくすっと笑う。
旬もつられて笑う。
柔らかい朝。
特別じゃない。
でも、
二人がずっと欲しかった日常。
旬は笑いながら、
眠そうな希の頭を撫でる。
あの時みたいに、
必死に恋を追いかけなくても。
もう、不安はない。
ずっと、隣にいる。