身代わりの結婚は本当の愛のために
 カップルたちは、雪の寒さなど気にしないと言わんばかりに、楽しそうにキラキラしたショップを眺めている。そのとき、ひとつのピアスが目に入った。ダイヤモンドだろうか。一粒の石がぶら下がるチェーンの先に、パールがあしらわれている。

「かわいい」
 そう言った私の視線は、その横に並べられていたクリスタルの雪だるまに向いていた。もちろんピアスもきれいだったが、ガラス細工のようなその雪だるまが、なんとも言えずかわいかった。

 しかし、値札も見えないうえに、入口にはドアマンが立っているような高級店。私の身の丈には合わないに決まっている。
 今週末には、憂鬱な顔合わせがある。今のうちに仕事を進めておくべきだし、雪で電車が止まってしまったら元も子もない。

 帰って仕事をしよう。コートの胸もとをキュッと押さえると、私は駅へと向かって歩き始めた。

「ええ? 話が違うわ」
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