身代わりの結婚は本当の愛のために
契約結婚の行方
都内では珍しい雪がチラチラと舞い落ちて、クリスマス一色に彩られた街のイルミネーションの明かりが白く霞んでいる。
ビル群の谷間を抜ける冷たい風が、足もとから体温を奪っていく。歩道に立つ人々の吐く息が淡く灯りに溶け、街全体が少しだけ白い靄に包まれているようだった。
私はコートの胸もとをキュッと手で押さえて、空に向かって吐いた白い息を追いかける。
「結婚か……」
つぶやくつもりなどなかったが、声に出てしまっていたようで、隣にいた後輩の斎藤(さいとう)ちゃんが「え?」と声をあげた。
「声に出てた?」
「はい。常盤先輩、結婚したいんですか?」
とくに興味もなさそうな斎藤ちゃんの言葉に、苦笑しつつ首を横に振る。
「まったく」
そう、まったく結婚なんてものには興味がない。でも、興味のあるなしにかかわらず、私には結婚も仕事も拒否することは許されないのだ。
常盤真白、今年二十六歳になった。美術系の大学を卒業後、家業である常盤グループの関連会社であるTOKIWAデザインに勤めて四年目になる。
ビル群の谷間を抜ける冷たい風が、足もとから体温を奪っていく。歩道に立つ人々の吐く息が淡く灯りに溶け、街全体が少しだけ白い靄に包まれているようだった。
私はコートの胸もとをキュッと手で押さえて、空に向かって吐いた白い息を追いかける。
「結婚か……」
つぶやくつもりなどなかったが、声に出てしまっていたようで、隣にいた後輩の斎藤(さいとう)ちゃんが「え?」と声をあげた。
「声に出てた?」
「はい。常盤先輩、結婚したいんですか?」
とくに興味もなさそうな斎藤ちゃんの言葉に、苦笑しつつ首を横に振る。
「まったく」
そう、まったく結婚なんてものには興味がない。でも、興味のあるなしにかかわらず、私には結婚も仕事も拒否することは許されないのだ。
常盤真白、今年二十六歳になった。美術系の大学を卒業後、家業である常盤グループの関連会社であるTOKIWAデザインに勤めて四年目になる。