身代わりの結婚は本当の愛のために
 そう言うと、斎藤ちゃんは「でしょうね」と、興味なさそうに答えた。
 
 たしかに仕事柄、動きやすさを重視してパンツスタイルにジャケットやニットを合わせることが多く、デザイン会社ということもあって服装の指定はない。だから自然と、カジュアル寄りの服装になる。

 肩より少し長いブラウンの髪は、ひとつに結んでいることが多い。たしかに、おしゃれよりも機能性重視と言われたらそれまでか……そう思う。
 納得しかけていると、斎藤ちゃんがちらりと私を見て、口を開いた。

「真白先輩、男顔負けの仕事の仕方ですもんね。彼氏がいるとも思えないし」
「それってどういう意味?」
 けなすようなその言葉に、私はジロリと斎藤ちゃんを睨みつける。すると彼女は「違いますって」とすぐに返してきた。

「彼氏がいたら、深夜まで仕事してないでしょうし、休日も今日みたいに出勤しないと思って」
 結局、女子力が低いって言いたいのかと、私はため息をつく。すると我に返ったように、斎藤ちゃんは不意に言葉を止めた。
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