ゴシップ記者令嬢なので婚約破棄の真実を暴いたら侯爵令息さまに付きまとわれています。邪魔です。
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 結果、クララには親友がたくさんいることがわかった。
 話を聞いた誰もが自分はクララの親友だと自認しているのだ。クララとは心の奥の繊細なことまで分け合う仲だ、と。

「完全に心に忍び込む力を持っているじゃないですか。聖力ってそんなことできるんですか?」
「いや……初耳だ」

 今日はキャサリンも交えて談話室に三人が集まっていた。さすがにアーサーも公爵家令嬢を新聞部の部室に押し込む気にはならなかったので手順を踏んだのだ。

「ということは、ローランドさまもクララさんに心を捕らわれているのですね」

 キャサリンは絶望の表情になった。長らくともに歩んできた婚約者がそんなことになって、さぞつらかろう。

「捕らわれるというか……依存みたいなものじゃないでしょうか。〈親友〉さんたちが言うんですよ、『クララに触れられると安らぐ』って」
「安らぐ?」
「聖力が及んでいるのは間違いないと思います。クララさんは心を癒してるんです」

 最初はちょっとした体の不調を癒そうとしたのかもしれない。そうして触れた手が、相手の心の弱った部分に聖力を届け、癒す。そして誰もがクララに心を寄せていった。
 解説されて、アーサーは頭を抱えた。

「大変な力じゃないか」
「そうですよ、殿下を篭絡しちゃうんですからね。殿下にも何か悩みとかがあって、それを癒してくれるクララさんに依存していったのではないかと」
「ローランドさま……」

 キャサリンは痛々しげにつぶやく。
 真面目なローランド王子のことだ、一国の王子としての責任を感じ常に張りつめていたのだろうと推測できる。同じく重い立場にあるキャサリンにそれを打ち明けなかったとしても、それはきっと優しさから。

「――だけどおかしいんですよね」
「どこがだ」
「クララさんは、立身出世とか望むタイプじゃなさそうで」

 キャサリンとアーサーは顔を見合わせた。どちらもクララ本人とはあまり接点がない。
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