ゴシップ記者令嬢なので婚約破棄の真実を暴いたら侯爵令息さまに付きまとわれています。邪魔です。
ローランド王子とキャサリンの仲を裂く目的、といえば。
普通に考えればクララが婚約者に成り代わり、ひいては妃になりたいのだと推測される。
でもクララはド庶民の出だ。上流階級のしきたりに馴染めず、ささやかな暮らしに戻りたいとしきりにこぼしているらしい。
「心を通じ合わせた親友たちが言うんですから、嘘じゃないと思います。それに貧しい時代の幼なじみたちからの贈り物を大切にしているのも本当です。贅沢したいわけじゃなさそうですよ」
「……じゃあ何が目的なんだ」
「わかりません」
ルーシーは難しい顔で考え込んだ。
取材できるのは事実だけ。人の心の奥を語ろうとすれば、それは客観的な記事ではなくなってしまう。
「よし」
アーサーは大きくうなずくと言った。
「本人に突撃しよう」
「はい? アーサーさん、そんな」
「ルーシーの取材もそろそろ限界だろう。あとは皆でやろう。殿下もクララも集めて、大暴露大会を開催だ」
ぽんぽん。
アーサーはルーシーの頭をやさしくなでる。いきなりそんな仕草をされて、ルーシーはものすごく嫌な目をした。
「さわんないで下さい」
「うん、やはり僕には癒しの力はなさそうだな」
「めちゃくちゃ気持ち悪いです。あと、取材の限界とか言わないでくれますか」
「限界だろう? 昼間は授業そっちのけで駆けずり回っていて、夜中に勉強しているじゃないか」
「そりゃ有利な就職のためには成績落とすわけにいかないので。ていうかなんで知ってるんです」
「ただの勘だよ。ほら、目の下にくまができてる」
「だから、さわんないで下さいってば!」
二人のやり取りで、キャサリンは目をしばたたいた。アーサーが女性に対してこんなに距離を縮めるのは見たことがない。
熱愛宣言はもしかして真実なのかしら。キャサリンは友人の春をそっと祝福した。