ゴシップ記者令嬢なので婚約破棄の真実を暴いたら侯爵令息さまに付きまとわれています。邪魔です。
ルーシーはしゃあしゃあと申し出た。
「私の証言では足りなければ、キャサリンさんのアリバイの証人たる一般人をご紹介しますが」
「や、やめて!」
悲鳴のように制止したのは当のキャサリン。頬がやや赤らんでいるように見える。その反応でローランド王子が顔をゆがめた。
「後ろめたいことがあるんだな、キャサリン」
「ち、違いますローランドさま。わたくし」
「キャサリンさんのは、なんの違法性も問題もないお出かけですよ殿下。このルーシーの名にかけて保証します!」
聞いていた生徒たちにもざわめきが広がる。何が真実なのか、これでは膠着状態だ。
キャサリンに詰問されたと訴えたクララ。
お忍びに出かけていたと反論するキャサリン。
そして、何故か自信満々のゴシップ記者ルーシーは嬉々として取材する。
「ええっと、クララさんの大切なハンカチというのは聖女候補になって転居する際に幼なじみたちから贈られたハンカチのことでしょうか」
「どうしてそれを知って……?」
ルーシーに確認されて、クララはおろおろした。周知のことのように語られたが、ハンカチの存在は学園で親しくなった数人にしか言っていない。
「こっちも仕事なんで取材は頑張りました。あと、落水したというのは学園中庭の噴水でしょうか」
「あ、はい……」
「ふうむ、その件はチェックできてません。私もまだまだですね……ちなみに突き落とし事件の日時も教えていただけますか?」
「え、あの。その……」
「いいかげんにしないか!」
声を荒らげたのはローランド王子だった。クララをかばってルーシーと向かい合う。
「公衆の面前で被害者を尋問するような真似は許さん。たかが新聞部の分際で何様のつもりだ」