ゴシップ記者令嬢なので婚約破棄の真実を暴いたら侯爵令息さまに付きまとわれています。邪魔です。

事件記者ルーシー

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 その日の放課後、ルーシーは学園の談話室に行った。キャサリンに呼ばれたのだ。
 無実を証明する手伝いをしてほしいそうで、貸し切りにした小さな談話室にはアーサーを加えた三人だけ。

「なんでアーサーさんもいるんです?」
「君が記者根性を発揮するとキャサリン嬢のプライバシーが危険にさらされる。公平な交渉を担保するために同席させてもらうだけだ」
「アーサーさまはわたくしを心配して下さっているの。ローランドさまともご友人でいらっしゃるし、冷静に相談に乗って下さる方よ」

 上品な微笑みを浮かべてキャサリンが口添えする。まあいいか、とルーシーは引き下がった。警戒されているのはおもしろくないが、ルーシーは事実を突き詰めていくだけだ。
 話を始めるにあたり、まずはキャサリンが礼儀正しく謝意を示した。

「先ほどはかばっていただいてありがとう、ルーシーさん」
「あ、丁寧に呼んでいただかなくてけっこうです。私は後輩ですし、身分も下ですから」
「では親しくルーシー、と。あの場では、わたくし泣きそうになってしまって。情けないわね」
「いいえ。あの言われようは驚きますよ。とても興味深かったです」
「興味深い?」
「ローランド殿下が言い立てたこと、どれもこれもあやふやで。よくあれで相手を非難しようとか思えるなーって」
「だから君は不敬だって!」

 アーサーが天井をあおぐ。

「婚約を考え直すとか聖女候補への嫉妬だとかいう話を聞いて、最初に出る感想が証拠が弱い? 普通じゃないな」
「そうですか?」

 それはルーシーにとってなんのダメージにもならない論評だ。というかむしろ誉め言葉。視点や切り口の斬新さは記事を書くのに必要なこと!
 アーサーを放っておいて、ルーシーはさっさと要点に移った。

「キャサリンさんを助けるというか、事実関係を洗い出すのは私の本望でもあるので。協力するにやぶさかではないです。ええと、殿下が並べた事案を整理しますね」
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