あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
「靴擦れを気にして、下を向いた状態で無防備だったから、ひったくりに狙われたんですかね」
「靴擦れ? そっちは大丈夫か?」

 足元に視線を注ぐ彼に、「はい」と小さく返事をした。
 車で病院まで連れてきてもらえたおかげで、かかとはまだ傷にならずに済んでいる。

「バッグはきっと戻ってこないですよね。財布も」

 盗られたのが休日に使用しているバッグだったのは、不幸中の幸いだった。これが仕事用のバッグで、中に大事な資料やノートパソコンが入っていたら……と考えただけで背筋が凍る。
 最近気に入って買った真新しいバッグだっただけに残念だけれど、あきらめなくてはいけないだろう。

「ほかに盗られた貴重品は?」
「スマホはこのとおり無事だったので」

 ポケットからスマホを出して顔の横に掲げ、小さく微笑んだところであることにハッと気づいた。
 
「……あ、クレジットカードが財布に入ってます!」
「まずいな。すぐに止めないと」

 あわててカードの使用履歴をスマホで確認したけれど、まだ不正に使われた形跡はなかった。
 カード会社に電話をかけて事情を説明し、利用停止の手続きを取って胸をなでおろした。
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