あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
「昨日、怖い思いをしたからな。ひどいケガもしたし……」

 そうか、須南先輩は康史との破局の件を知らない。私が落ち込んでいるのは、すべてひったくりに遭ったせいだと思っているのだ。

「行こう。緊張しなくても大丈夫だ。俺がついてる」

 どうしてだろう。須南先輩の言葉を聞いているだけで、不安な気持ちがどんどん消えてなくなっていく。
 それだけじゃない。昨日、心にザクザクと刻まれた生々しい傷が、少しだけふさがった気がした。

 警察署の中へ入ると、昨日担当してくれた警察官がいて、事件の詳細を聞きとって調書を作成した。
 偶然通りかかった須南先輩が犯行を目撃していたため、私のつたない説明の補足をしてくれたので本当に助かった。
 
 こういう場合、被害届を提出することで、警察が捜査を開始してくれるらしい。
 盗られた財布には、現金が五万円ほど入っていた。
 ひったくりは重要窃盗犯として扱われるそうなので、犯人が逮捕されたらいいなと思うものの、その現金は戻ってこないだろう。捜査してみないとわからないけれど、逮捕もむずかしいのかもしれない。

「今日は本当にありがとうございました」

 手続きをすべて終え、警察署の玄関を出たところで須南先輩に深々と頭を下げた。
 彼がそばで支えになってくれて、私はどんなに心強かったかわからない。感謝の気持ちでいっぱいだ。
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