あの日を越えて、二度目の初恋を~最愛の彼との再会愛~
「すみません。それ、引き取ります」
「え?」

 一度渡したものを返してほしいと頼むなんて、無礼だしカッコ悪い。
 それは百も承知だが、知らなかったとはいえ、彼の会社の商品を贈ってしまったのだ。いくらこのボールペンが優れていても、〝プレゼント〟としてはそぐわないだろう。
 しかし、両手を出して返還を求めた私に対し、彼は即座に首を横に振った。

「どうして?」
「だって……」
「名入れも済んでるのに」

 購入時に名入れサービスがあると知り、せっかくならと思い、『Sera.S』と彼の名前を入れてほしいとオーダーしたのだ。
 そのため、本体の三日月のモチーフの下に、綺麗に名前が印字されている。

「ありがとう。凛音からのプレゼント、大事に使うよ」

 真っすぐな瞳でじっと見つめられると、自動的に胸がドキドキとうるさくなってくる。無言で小さく頭を下げ、視線をテーブルの上に落とした。

「実は……入社してすぐのころ、リシェスシリーズを作りたいと提案したのは俺なんだ。懐かしいな」
「そうなんですか!」
「凛音が、三日月が好きだって言ってたから」

 にわかに信じられない言葉が聞こえてきて、思わず勘違いしそうになった。

 彼は大学を卒業後も、頭の片隅で私のことを思い浮かべていた?
 ……そんなこと、あるはずがないのに。
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