最低で大嫌いなあなた、結婚してください
友人同士の飲みでは、今でこそ何も言われないが、最初は「えー? 飲まないの?」と言われて場を盛り下げている気がした。
前に付き合っていた彼氏にも「つまんねーの」と言われてしまった。
けれど修吾はネガティブな事を言わず、「鞠花らしい」と肯定してくれた。
それだけで今まで感じていた申し訳なさが、フッと軽くなった気がした。
今日のオーダーでは、初対面と言っていい修吾の前で酔いたくないので、赤葡萄ジュースをオーダーした。
修吾は何やら高そうなシャンパンやワインの名前をギャルソンに言い、料理に合わせて出してもらうよう頼んでいた。
(こういうお店に慣れていると、何の料理に何のワインが合うとか、知ってるんだろうな)
魚には白ワイン、肉には赤ワインぐらいは鞠花も知っている。
けれど修吾は肉に対して何肉ならどこ産の何……と言っていて、もっと専門的な知識を知っていそうだ。
(お金持ちになると、飲食に関わる知識も増えて、趣味もお金がかかってそうだな)
あまり人を不躾に見ると失礼だが、見るからに仕立てのいいスーツや、ゼロが幾つも並びそうな金額の腕時計を見ると、本当に雲の上の存在だと思う。
彼に気付かれないように溜め息をつくと、オーダーを終えた修吾が微笑みかけてきた。
「この部屋に他の客は来ませんので、リラックスして食事を楽しんでください。テーブルマナーも気にしなくていいですよ」
「ありがとうございます。慣れていないので、お気遣いに感謝します」
「失礼ですが、今までの彼氏について聞いてもいいですか? 鞠花さんの事が気になるので、色々質問したいです」
「大して恋愛豊富ではありません。大学卒業後に国家試験を受けて看護師になり、その当時付き合っていたのは学生時代に知り合った人でした。私の両親は他界していて、祖父母に育てられました。早く一人前になりたいと思って、同年代の友達より真剣に勉強や仕事に打ち込んでいたと思います。奨学金も返さないとならず、彼氏の優先順位を下げていたら、振られてしまいました」
鞠花はそう言って小さく笑う。
同時に、自分の事を告白した事によって、修吾の興味を失う覚悟も持っていた。
普通なら両親がおらず奨学金もあると聞くと、積極的に付き合おうと思わないだろう。
もし修吾が〝彼氏候補〟をなかった事にしても、責めるつもりはない。
「当時付き合っていた彼は、結婚も視野に入れてくれていました。でも私と彼とでは生きる事への必死さの温度差があり、イチャイチャする余裕のない私はフラれてしまいました。それ以降、誰とも付き合っていません」
「そうですか。話してくれてありがとうございます」
修吾は特に余計な事は言わず、その距離感に鞠花は気楽さを感じた。
前に付き合っていた彼氏にも「つまんねーの」と言われてしまった。
けれど修吾はネガティブな事を言わず、「鞠花らしい」と肯定してくれた。
それだけで今まで感じていた申し訳なさが、フッと軽くなった気がした。
今日のオーダーでは、初対面と言っていい修吾の前で酔いたくないので、赤葡萄ジュースをオーダーした。
修吾は何やら高そうなシャンパンやワインの名前をギャルソンに言い、料理に合わせて出してもらうよう頼んでいた。
(こういうお店に慣れていると、何の料理に何のワインが合うとか、知ってるんだろうな)
魚には白ワイン、肉には赤ワインぐらいは鞠花も知っている。
けれど修吾は肉に対して何肉ならどこ産の何……と言っていて、もっと専門的な知識を知っていそうだ。
(お金持ちになると、飲食に関わる知識も増えて、趣味もお金がかかってそうだな)
あまり人を不躾に見ると失礼だが、見るからに仕立てのいいスーツや、ゼロが幾つも並びそうな金額の腕時計を見ると、本当に雲の上の存在だと思う。
彼に気付かれないように溜め息をつくと、オーダーを終えた修吾が微笑みかけてきた。
「この部屋に他の客は来ませんので、リラックスして食事を楽しんでください。テーブルマナーも気にしなくていいですよ」
「ありがとうございます。慣れていないので、お気遣いに感謝します」
「失礼ですが、今までの彼氏について聞いてもいいですか? 鞠花さんの事が気になるので、色々質問したいです」
「大して恋愛豊富ではありません。大学卒業後に国家試験を受けて看護師になり、その当時付き合っていたのは学生時代に知り合った人でした。私の両親は他界していて、祖父母に育てられました。早く一人前になりたいと思って、同年代の友達より真剣に勉強や仕事に打ち込んでいたと思います。奨学金も返さないとならず、彼氏の優先順位を下げていたら、振られてしまいました」
鞠花はそう言って小さく笑う。
同時に、自分の事を告白した事によって、修吾の興味を失う覚悟も持っていた。
普通なら両親がおらず奨学金もあると聞くと、積極的に付き合おうと思わないだろう。
もし修吾が〝彼氏候補〟をなかった事にしても、責めるつもりはない。
「当時付き合っていた彼は、結婚も視野に入れてくれていました。でも私と彼とでは生きる事への必死さの温度差があり、イチャイチャする余裕のない私はフラれてしまいました。それ以降、誰とも付き合っていません」
「そうですか。話してくれてありがとうございます」
修吾は特に余計な事は言わず、その距離感に鞠花は気楽さを感じた。