最低で大嫌いなあなた、結婚してください
「結婚願望のある女性は、家庭的である事、子供好きなどアピールしてきます。そして『あなたの見た目もお金も、社会的地位も関係ない。愛してるから結婚したい』と言うんです。でも俺は自分が最低な男だと分かっているから、すべてを失ってもついてきてくれる女性がいるなんて思っていません。俺の魅力はそれらを兼ね揃えた上で成り立っているものなんです。だから……。失礼ながら、鞠花さんも下心ありきで近付いてきたのかと思いました。すみません」
確かに失礼な思われ方をされていたのは心外だが、彼の境遇を思うと理解できるし、怒る気持ちにもならなかった。
「構いません。というか、冷静に考えてあの状況であなたが経営者だと見抜いて、ピンポイントで助けられると思いますか?」
クスクス笑って尋ねると、修吾は恥じ入ったように「そうですね」と頷く。
「助けたのは勿論偶然です。でも家に連れ帰って手当てして、ご飯……なんて、ちょっと距離が近すぎましたよね。私は看護師をしている以上、世話焼き気質でその延長上だったのですが、普通なら警戒しますよね」
「近すぎたなんて、そんな……」
首を横に振る修吾に、鞠花は微笑む。
「私が看護師になった理由は、やりがいがあるのと、誰かを助け、支えたいという気持ちがあるからです。だからプライベートでも、つい見知らぬ人の世話を焼いてしまう癖があります。……修吾さんはドアトゥドアな生活を送っているでしょうから、赤の他人に助けられる機会は少ないと思います。でも世の中には、困っている人に見返りを求めずに手を差し伸べる人がいる事も知ってほしいです」
鞠花の話を聞いた修吾は、すっかり価値観を変えたようだった。
「何か……すみません。今日、お礼という意味だけでなく、鞠花さんとお話ができて良かったです。俺は今までずっと、偏った考え方で世界を見てきました。だから、普段関わらないタイプの人と話せて、実に有意義でした」
「立派な事を言ったつもりではありませんが、そう思っていただけたなら幸いです」
「鞠花さんが望むなら何でも贈りたいです。でもあなたの望みを聞かずに、自分のエゴを押しつけるのはやめます」
鞠花は理解を示してくれた修吾に感謝し、「はい」と頷く。
「また会ってもらえませんか? 鞠花さんともっと話して、自分の価値観をアップデートしていきたいです。その時、受講料として食事をご馳走させてください。こういう考え方は古いかもしれませんが、女性に食事代を出させるのは格好悪くて……」
男の見栄を守ろうとする修吾がおかしくて、鞠花はクスクス笑う。
「食事代に見合うお話ができるかは分かりませんが、それぐらいなら大丈夫です。私も修吾さんが身を置く世界に興味があるので、色々教えてください」
そう言うと修吾は嬉しそうに表情を綻ばせた。
**
確かに失礼な思われ方をされていたのは心外だが、彼の境遇を思うと理解できるし、怒る気持ちにもならなかった。
「構いません。というか、冷静に考えてあの状況であなたが経営者だと見抜いて、ピンポイントで助けられると思いますか?」
クスクス笑って尋ねると、修吾は恥じ入ったように「そうですね」と頷く。
「助けたのは勿論偶然です。でも家に連れ帰って手当てして、ご飯……なんて、ちょっと距離が近すぎましたよね。私は看護師をしている以上、世話焼き気質でその延長上だったのですが、普通なら警戒しますよね」
「近すぎたなんて、そんな……」
首を横に振る修吾に、鞠花は微笑む。
「私が看護師になった理由は、やりがいがあるのと、誰かを助け、支えたいという気持ちがあるからです。だからプライベートでも、つい見知らぬ人の世話を焼いてしまう癖があります。……修吾さんはドアトゥドアな生活を送っているでしょうから、赤の他人に助けられる機会は少ないと思います。でも世の中には、困っている人に見返りを求めずに手を差し伸べる人がいる事も知ってほしいです」
鞠花の話を聞いた修吾は、すっかり価値観を変えたようだった。
「何か……すみません。今日、お礼という意味だけでなく、鞠花さんとお話ができて良かったです。俺は今までずっと、偏った考え方で世界を見てきました。だから、普段関わらないタイプの人と話せて、実に有意義でした」
「立派な事を言ったつもりではありませんが、そう思っていただけたなら幸いです」
「鞠花さんが望むなら何でも贈りたいです。でもあなたの望みを聞かずに、自分のエゴを押しつけるのはやめます」
鞠花は理解を示してくれた修吾に感謝し、「はい」と頷く。
「また会ってもらえませんか? 鞠花さんともっと話して、自分の価値観をアップデートしていきたいです。その時、受講料として食事をご馳走させてください。こういう考え方は古いかもしれませんが、女性に食事代を出させるのは格好悪くて……」
男の見栄を守ろうとする修吾がおかしくて、鞠花はクスクス笑う。
「食事代に見合うお話ができるかは分かりませんが、それぐらいなら大丈夫です。私も修吾さんが身を置く世界に興味があるので、色々教えてください」
そう言うと修吾は嬉しそうに表情を綻ばせた。
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