最低で大嫌いなあなた、結婚してください
 鞠花は満腹になってぼんやりしたまま、修吾にお礼ができないか考えていた。

「修吾さん、私にしてほしい事ってありますか? 一方的にいただいてばかりなので、少しは何かしたいというか……」

 そう尋ねると彼は「え?」と瞬きをする。

「レストランでの食事について、男の人の見栄があるのは理解します。でもその上に贈り物もしていただいて、やっぱり申し訳ないです。……だから、私にできる事があったらしたいです」

 微笑んで言ったが、修吾は複雑そうな顔をしていた。

 何か言いたいのに言えない表情をしていて、鞠花は怪訝そうに首を傾げる。

「どうしました? 無理難題なら考えさせてもらいますが、とりあえず言うだけタダですよ?」

 言った鞠花の足に、トンと修吾の足が当たった。

(ん?)

 そのまま、修吾はフットカバーを履いた鞠花の足を、スリ……と撫でてきた。

 今まで修吾に手を握られる、エスコートのために肩や背中に触れられる以外、接触した事がなかった。

 なので鞠花は妙に足での触れ合いを「いやらしい」と感じ、意識してしまった。

 そして物言いたげな目をしている修吾を見て、彼の望むものを察してしまう。

 ――思い上がりかもしれない。

 ――でも……。

 修吾は覚悟を決めたのか、鞠花を見つめて口を開いた。

「……嫌だったら言ってほしい。拒絶しても俺は態度を変えない」

 前置きをされ、鞠花は胸を高鳴らせて「はい」と頷く。

「……鞠花がほしい。……君を抱きたい」

 ストレートな欲求を向けられ、久しぶりに体の奥がジワリと疼いた。

 鞠花は赤面して俯き、スカートをクシャリと握りしめる。

 修吾はなおも続ける。

「本当は初対面の時から魅力を感じていた。でも、……こう言ったら『クズ男』と思われそうだが、今までは〝その気〟になったらすぐ抱けた。……でも鞠花だけは、ちゃんと時間をかけて気を許してもらい、君の意思をを尋ねて抱きたいと思っている。……大切なんだ」

 彼のようなモテ男から特別扱いをしていると聞かされ、鞠花は胸を高鳴らせる。
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