最低で大嫌いなあなた、結婚してください
(きっと高級な香水を使っているんだろうな)

 そう思った時、口内にヌルリと舌が入ってきた。

「ん、……ん、ぅ」

 唾液を交えた温かい舌が鞠花の舌に絡み、口元からいやらしい水音が立つ。

「んン……っ」

 鞠花はゾクリと肌を粟立たせ、身じろぎをした。

(あ……。気持ち……いい……)

 頭をいい子、いい子と撫でられながらキスをされていると、存在を肯定されている気持ちになった。

 気付けば鞠花は修吾に抱きついたまま、彼の抱擁を受け、真摯な愛という名のキスを甘受していた。

 元彼とはどんなキスをしても心のどこかは冷静だったのに、今は修吾のキスに夢中になっていた。

 だから、バスローブの腰紐を引っ張られても抵抗しなかった。





「大丈夫?」

 行為後、修吾は汗で顔に貼り付いた髪を優しく撫でつけてくれる。

「はい……」

 鞠花はぼんやりとしたまま返事をし、深い快楽の残滓を味わう。

「水、飲める?」

「ありがとうございます」

 修吾は鞠花の頭を撫で、ベッドルームを出て行った。

 少しして足音がし、彼が戻る。

「起きられる?」

「なんとか……」

 返事をするものの、全身が重だるくてピクリとも動けない。

 修吾はそんな彼女を支えて起き上がらせると、口移しで水を飲ませてきた。

「ん……く」

 冷たい水が、快楽で溶けていた体に染み渡っていく。

 修吾はクッションや枕を集め、鞠花はそれにもたれかかって水を飲んだ。

 水を飲んで冷静になったからか、とうとう修吾と関係を持ってしまった事を自覚する。

(……私、修吾さんとしちゃったんだ)

 我に返るととても恥ずかしい事をしたように思え、彼にどう話しかけたらいいのか分からない。
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