最低で大嫌いなあなた、結婚してください
「気持ち良かったよ」

 そう言われ、鞠花は照れつつもペコリと頭を下げる。

「そ……それは、良かった……です」

「本当に数年ぶり?」

「……はい」

 疑われるほど乱れてしまったのは事実だ。

 けれど二年前に彼氏と別れたきり、誰とも関係を持っていない事を疑われたら不本意だ。

(どうしよう……。本当に誰とも付き合っていなかったって言うべきなのかな。でも、主張しすぎるほど疑われるかも)

 迷っていると、修吾はしみじみと言った。

「……すっごい良かった」

 素のトーンで言われた、鞠花は思わず真っ赤になってしまった。

「しゅ、修吾さんが上手だったから……」

 ボソボソと言うと、修吾は嬉しそうな顔で「ん?」と顔を覗き込んできた。

「お、面白がらないで……」

 照れて顔を背けると、修吾に肩を抱き寄せられた。

「だって嬉しいじゃないか。好きだと思った女性(ひと)に、『上手』って言われたなら、これ以上の誉はない」

 修吾は鞠花の頬にキスをし、嬉しそうに目を細める。

 そんな彼を見て、鞠花は〝当たり前の事〟に思い至り、視線を落とす。

(そうだよね。上手いっていう事は沢山経験してきたっていう事なんだ)

 彼が魅力的な人なのは分かっているのに、一度抱かれたからと言って彼女面をする自分に嫌気が差す。

「……鞠花、どうした?」

 修吾は急に黙った彼女を不審に思ったのか、顔を覗き込んでくる。

「…………『面倒で重たい女』って思われるから言いません」

「なにそれ。聞きたい。言って」

 けれどクスクス笑った修吾に耳たぶを甘噛みされ、鞠花は「ひぁっ」と悲鳴を上げた。

「言わないと耳を舐めるよ」

 言っておきながら修吾はすぐに耳孔に舌をねじ込み、鞠花は直接脳髄を舐められているような感覚に陥って嬌声を迸らせた。

「やっ、やぁっ! やだっ!」

 鞠花がジタバタと暴れると、修吾は笑いながら顔を離し、続きを促す。
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