最低で大嫌いなあなた、結婚してください
「分かりました。これからどうぞ宜しくお願いいたします。色々不慣れな事もあると思いますが、お互い歩み寄り、良いお付き合いをしていけたらと思います」

「……良かった」

 修吾は安堵して笑い、ギュッと鞠花を抱き締めてきた。

 鞠花もおずおずと修吾を抱き返し、照れながらも彼の頬にキスをする。

 二人はしばらくそのまま抱き合っていたが、修吾は少し体を離すと気まずそうに打ち明けてきた。

「実は……。こんなんなんってるんだけど……」

 彼が羽根布団をめくると、股間ではギンッとそそり立ったモノが見えた。

 鞠花は息を呑んで赤面し、視線を逸らす。

「……もう一回していい? 俺、割と性欲が強いほうで……」

「……い、いいですけど……」

 鞠花は照れながらも頷く。

 元彼は一回射精したら満足するタイプで、修吾のように〝次〟を望まなかった。

(これにも慣れないと)

 恥ずかしいが、女として求められるのは嬉しい。

 再び押し倒された鞠花は、幸せな気持ちのまま修吾のキスを受け入れた。



**



 祥吾は生まれて初めて、身も心も満たされた日々を送っていた。

 鞠花は最高の女だ。

 付き合い始めても祥吾に対して〝私の男〟のような独占欲、周囲に見せびらかすような態度はとらず、「あれを買って、これを買って」と物欲も見せない。

 高級レストランには行き慣れていないようで、つれて行きつつマナーを教えると、すぐ身につけていく。

 時にはネットで〝予習〟をし、「このようなマナーを見かけたのですが、どういう場合に使いますか?」と勤勉さまで見せてくる。

 今まで付き合ってきた女性たちは、祥吾の機嫌さえ取れていればいい感じだった。

 だから店のスタッフに横柄な態度をとる事もあり、本当に気に入っている店には遊び相手を連れて行かない暗黙のルールがあったほどだ。

 だが鞠花は料理人、スタッフへの敬意を欠かさない。

 こまやかに料理の感想を述べる様子などを見ると、自分もそうあるべきかと思う事もあった。
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