最低で大嫌いなあなた、結婚してください
祥吾は鞠花と結婚する事も視野に入れている。
彼は由緒正しい家柄の生まれで、今まで何度も縁談を持ち込まれた。
だが祥吾は『女なんてみんな同じ』という考えを崩さず、最初から投げやりになっている彼と、真剣に見合いに臨む女性が良い結果を迎える事はなかった。
それを何度も繰り返すうちに、両親は祥吾が自分で納得できる相手を見つける日を待つようになった。
しかし諦めきれないのか、いまだに『良いお嬢さんがいるんだけど』と縁談をチラつかせ、祥吾が今どんな女性と付き合っているかを気にしている。
何度も縁談をぶち壊して両親も困り切っていたので、内心では「結婚して孫の顔が見られるなら、相手はよほど酷い相手でなければ受け入れる」と思っているだろう。
これを狙って好き勝手していた訳ではないが、今なら鞠花を紹介すれば了承を得られるのでは、と思っていた。
鞠花は一般家庭の生まれの上、両親が他界しているが、今まで付き合ったどの女性より理知的で聡明な人だ。
祥吾の母は金持ちのお嬢様だが、価値観などは割とまともなほうだと思っている。
だから母は、祥吾が今まで適当に付き合っていた女性たちを見ていい顔をしなかった。
それを思うと、しっかり者の鞠花を紹介すれば、きっと母に気に入ってもらえるのでは……と期待していた。
「これで俺も、人並みの幸せを得られるのかな」
祥吾は自宅マンションのリビングでハイボールのグラスを傾け、ニヤつく。
三十歳を超えると、友人たちから「結婚した」「子供ができた」という知らせが次々に舞い込んでくる。
しかし独身の友人もいるので、「自分も結婚しなくては」と物凄く焦ってはいない。
表向き「お幸せに」と祝福しつつ、独身同士で「俺らはまだまだだな」と笑う。
だが本心では、隣の芝生を青く感じるものだ。
自分は一生、愛のある幸せな結婚生活を送れないのでは……と思っていたからこそ、祥吾は鞠花に大きな期待を抱いていた。
「……そう言えば、本名を教えてなかったっけ」
不意に思い出したが、偽名を名乗っていた事ぐらい、鞠花なら説明すれば理解してくれると、さほど問題に思わなかった。
最初に偽名を名乗ったのは、鞠花がどういう人か分からなかったから、もし面倒なタイプならすぐに切れるようにするためだった。
だがそう考える必要もなくなった。
だからいずれ本名を名乗っても、問題が生じるとはまったく思っていなかった。
**
彼は由緒正しい家柄の生まれで、今まで何度も縁談を持ち込まれた。
だが祥吾は『女なんてみんな同じ』という考えを崩さず、最初から投げやりになっている彼と、真剣に見合いに臨む女性が良い結果を迎える事はなかった。
それを何度も繰り返すうちに、両親は祥吾が自分で納得できる相手を見つける日を待つようになった。
しかし諦めきれないのか、いまだに『良いお嬢さんがいるんだけど』と縁談をチラつかせ、祥吾が今どんな女性と付き合っているかを気にしている。
何度も縁談をぶち壊して両親も困り切っていたので、内心では「結婚して孫の顔が見られるなら、相手はよほど酷い相手でなければ受け入れる」と思っているだろう。
これを狙って好き勝手していた訳ではないが、今なら鞠花を紹介すれば了承を得られるのでは、と思っていた。
鞠花は一般家庭の生まれの上、両親が他界しているが、今まで付き合ったどの女性より理知的で聡明な人だ。
祥吾の母は金持ちのお嬢様だが、価値観などは割とまともなほうだと思っている。
だから母は、祥吾が今まで適当に付き合っていた女性たちを見ていい顔をしなかった。
それを思うと、しっかり者の鞠花を紹介すれば、きっと母に気に入ってもらえるのでは……と期待していた。
「これで俺も、人並みの幸せを得られるのかな」
祥吾は自宅マンションのリビングでハイボールのグラスを傾け、ニヤつく。
三十歳を超えると、友人たちから「結婚した」「子供ができた」という知らせが次々に舞い込んでくる。
しかし独身の友人もいるので、「自分も結婚しなくては」と物凄く焦ってはいない。
表向き「お幸せに」と祝福しつつ、独身同士で「俺らはまだまだだな」と笑う。
だが本心では、隣の芝生を青く感じるものだ。
自分は一生、愛のある幸せな結婚生活を送れないのでは……と思っていたからこそ、祥吾は鞠花に大きな期待を抱いていた。
「……そう言えば、本名を教えてなかったっけ」
不意に思い出したが、偽名を名乗っていた事ぐらい、鞠花なら説明すれば理解してくれると、さほど問題に思わなかった。
最初に偽名を名乗ったのは、鞠花がどういう人か分からなかったから、もし面倒なタイプならすぐに切れるようにするためだった。
だがそう考える必要もなくなった。
だからいずれ本名を名乗っても、問題が生じるとはまったく思っていなかった。
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