最低で大嫌いなあなた、結婚してください
鞠花と出会った夏は終わり、秋が訪れて街にイルミネーションの明かりが灯るようになる。
クリスマスには鞠花にプロポーズしようと思って、婚約指輪も密かにオーダーメイドで作らせていた。
鞠花と訪れたい場所が、沢山あった。
彼女が「美味しい」と喜ぶのを見たくて、色々なレストランに連れて行きたかった。
子供の頃から馴染みになっている料亭の女将には、「今度婚約者を連れていきます」と伝えたばかりだった。
**
「社長。顔色が優れませんので、少しファンデーションなどで肌を整えたほうが……」
祥吾と関係を持っていた秘書の東は、彼がある時からパッタリと求めてこなくなっても、変わらず側にいた。
「……好きにしてくれ」
祥吾はテレビ局での仕事を前に、楽屋で放心していた。
今まで散々、ネットで〝西城鞠花〟という名前を検索しては、成果を得られず落胆していた。
やがてヘアメイクの女性がやって来て、祥吾の肌色を整える。
彼女は祥吾が女性と別れたらしいという話を聞いたのか、浮かれた様子で「最近オープンしたレストラン、評判がいいらしいんですよ~」と話している。
そうする事によって、自分に〝順番〟が回ってくる事を望んでいるのだろうが、今の祥吾の耳には届いていない。
無気力に目の前の空間を見つめる祥吾は、いつものギラギラとした生気を放っていない分、作り物のような美を醸し出していた。
ヘアメイクの女性は一瞬手を止め、そんな彼に見惚れる。
傍にいた東がわざとらしく咳払いをすると、彼女はハッとしてまた手を動かす。
東は苛ついた目で祥吾とヘアメイクを見て、はばからず大きな溜め息をついた。
クリスマスには鞠花にプロポーズしようと思って、婚約指輪も密かにオーダーメイドで作らせていた。
鞠花と訪れたい場所が、沢山あった。
彼女が「美味しい」と喜ぶのを見たくて、色々なレストランに連れて行きたかった。
子供の頃から馴染みになっている料亭の女将には、「今度婚約者を連れていきます」と伝えたばかりだった。
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「社長。顔色が優れませんので、少しファンデーションなどで肌を整えたほうが……」
祥吾と関係を持っていた秘書の東は、彼がある時からパッタリと求めてこなくなっても、変わらず側にいた。
「……好きにしてくれ」
祥吾はテレビ局での仕事を前に、楽屋で放心していた。
今まで散々、ネットで〝西城鞠花〟という名前を検索しては、成果を得られず落胆していた。
やがてヘアメイクの女性がやって来て、祥吾の肌色を整える。
彼女は祥吾が女性と別れたらしいという話を聞いたのか、浮かれた様子で「最近オープンしたレストラン、評判がいいらしいんですよ~」と話している。
そうする事によって、自分に〝順番〟が回ってくる事を望んでいるのだろうが、今の祥吾の耳には届いていない。
無気力に目の前の空間を見つめる祥吾は、いつものギラギラとした生気を放っていない分、作り物のような美を醸し出していた。
ヘアメイクの女性は一瞬手を止め、そんな彼に見惚れる。
傍にいた東がわざとらしく咳払いをすると、彼女はハッとしてまた手を動かす。
東は苛ついた目で祥吾とヘアメイクを見て、はばからず大きな溜め息をついた。