最低で大嫌いなあなた、結婚してください
「……すまない。予想外の事だった」
謝る祥吾に、鞠花は静かに尋ねる。
「後悔していますか?」
「いいや! 君との間にできた子なら嬉しい!」
キッパリと言い切った言葉を聞き、鞠花は一瞬目を潤ませた。
彼女はそれを誤魔化すように横を向き、目元を拭ってから祥吾に向き直る。
「今後、家庭を築いていくのに、私たちの陰で苦しむ人がいてはなりません。どんなに幸せで満ち足りた生活をしていても、誰かの犠牲の上に成り立った人生などほしくありません。……だから、その前にちゃんとケリをつけてほしいんです」
祥吾は目を潤ませ、涙が零れそうになるのを堪えて尋ねる。
「……俺と、結婚してくれるのか?」
尋ねられた鞠花は、再会して初めて彼への愛情を見せた。
「……だって……っ、あなたを愛してしまったんですもの……っ」
鞠花は表情をクシャリと歪め、震える声で告げる。
「…………っ、大っ嫌いで、憎んでいたのに……っ! ~~~~、あなたは……っ、私に幸せと愛を教えてくれた……っ。あなたほど優しくて素敵な人はいない……っ」
鞠花の頬に、透明な涙が伝っていく。
その涙を見た祥吾は、腐りきっていた自分の心が浄化されていくのを感じた。
普通なら、仮に愛していたとしても親の仇ならば、自分にとって有利になる条件をつけて強引に結婚し、祥吾を言いなりにしようとしたかもしれない。
だが鞠花は金などは求めず、ただ祥吾に誠実であれと解いてきた。
憎しみに囚われず、〝大井修吾〟を愛した事実を歪めず、過去の事と自分の愛情をきちんと分けて考えられている。
その寛容さ、成熟した大人の分別に、ただただ頭が下がる思いだった。
「最低で大嫌いなあなた、…………結婚してください……っ」
鞠花は涙を零しながらも背筋を伸ばして座り、凛とした清廉さを纏わせて求婚する。
――完敗だ。
許され、人としての器の大きさを見せられ、彼女からプロポーズされてしまった。
今後、自分の前に鞠花以上に素晴らしい女性は現れないと、祥吾はその時に確信した。
「結婚しよう。必ず生まれ変わる。君の言う通り今まで傷つけた人たちに頭を下げ、再出発して、鞠花と子供を幸せにする」
鞠花は揺るぎない瞳で言い放った祥吾を、しばし見つめる。
それから、ふ……、と表情を和らげて言った。
謝る祥吾に、鞠花は静かに尋ねる。
「後悔していますか?」
「いいや! 君との間にできた子なら嬉しい!」
キッパリと言い切った言葉を聞き、鞠花は一瞬目を潤ませた。
彼女はそれを誤魔化すように横を向き、目元を拭ってから祥吾に向き直る。
「今後、家庭を築いていくのに、私たちの陰で苦しむ人がいてはなりません。どんなに幸せで満ち足りた生活をしていても、誰かの犠牲の上に成り立った人生などほしくありません。……だから、その前にちゃんとケリをつけてほしいんです」
祥吾は目を潤ませ、涙が零れそうになるのを堪えて尋ねる。
「……俺と、結婚してくれるのか?」
尋ねられた鞠花は、再会して初めて彼への愛情を見せた。
「……だって……っ、あなたを愛してしまったんですもの……っ」
鞠花は表情をクシャリと歪め、震える声で告げる。
「…………っ、大っ嫌いで、憎んでいたのに……っ! ~~~~、あなたは……っ、私に幸せと愛を教えてくれた……っ。あなたほど優しくて素敵な人はいない……っ」
鞠花の頬に、透明な涙が伝っていく。
その涙を見た祥吾は、腐りきっていた自分の心が浄化されていくのを感じた。
普通なら、仮に愛していたとしても親の仇ならば、自分にとって有利になる条件をつけて強引に結婚し、祥吾を言いなりにしようとしたかもしれない。
だが鞠花は金などは求めず、ただ祥吾に誠実であれと解いてきた。
憎しみに囚われず、〝大井修吾〟を愛した事実を歪めず、過去の事と自分の愛情をきちんと分けて考えられている。
その寛容さ、成熟した大人の分別に、ただただ頭が下がる思いだった。
「最低で大嫌いなあなた、…………結婚してください……っ」
鞠花は涙を零しながらも背筋を伸ばして座り、凛とした清廉さを纏わせて求婚する。
――完敗だ。
許され、人としての器の大きさを見せられ、彼女からプロポーズされてしまった。
今後、自分の前に鞠花以上に素晴らしい女性は現れないと、祥吾はその時に確信した。
「結婚しよう。必ず生まれ変わる。君の言う通り今まで傷つけた人たちに頭を下げ、再出発して、鞠花と子供を幸せにする」
鞠花は揺るぎない瞳で言い放った祥吾を、しばし見つめる。
それから、ふ……、と表情を和らげて言った。