【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

彼女の唇が綺麗に弧を描いていた。冷や汗が滲むのは気のせいだろうか。
ぼんやりと浮かぶ蝋燭の火。彼女がニコリと笑った瞬間に動けなかった体が解放されたような気がした。
アナベルは反射的に笑みを作る。それは長年染みついた癖のようなものだろう。
己のプライドだけで動いていたと思う。

彼女を囲むようにして侍女と侍従、それからアナベルを裏切ったリリーの姿があった。
リリーは怯えていて、動揺しているのか目が左右に動いているような気がした。
侍女たちはそんなリリーを睨みつけているが、それを制する余裕すらなかった。
荒い呼吸を繰り返しながら、アナベルは自分を奮い立たせていた。

(わたくしは大丈夫。今は正妃候補まで登り詰めたんだもの……あんな過去、どうってことないわ)

侍女たちを制してから改めて侍女たちのことを謝罪する。


「シャルレーヌ様、わたくしの元侍女がご迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ありません!」


深々と頭を下げると、クスリと嘲笑うような声が聞こえた。
気のせいかもしれないと思ったが、明らかにシャルレーヌはアナベルを鼻で笑ったのだ。
それがさらにアナベルのプライドを刺激する。
< 157 / 200 >

この作品をシェア

pagetop