【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
二人の言葉を聞いて今度はアナベルの唇が弧を描いていく。
ここに〝シャルレーヌをビンタした〟という証人はいなくなった。
シャルレーヌの侍女や侍従、リリーが証言したところで何の証拠にもならない。
ナリニーユ帝国で信頼を勝ち取っているはシャルレーヌではなく、アナベルの方だからだ。

(この子たちはわたくしの味方なのよ……! つまりこの件は表沙汰にならないということね!)

一気に形成逆転。しかもシャルレーヌの不用意な一言で、だ。


「あなたたちに手を出されそうになって、わたくしが手を出した……確かそうですわよね?」

「え、えぇ……」

「はい、アナベル様のおっしゃる通りですわ」


侍女たちは後ろめたいのか視線を逸らしつつも頷いていた。


「まぁ……こんなに堂々と嘘をつくなんて恐ろしいですわね」


こんな状況でも余裕を崩さないシャルレーヌが不気味に思えた。


「陛下がこのことを知ったらどう思うのでしょうね」

「あははっ、何を勘違いなさってるの? あなたが皇帝陛下に愛される未来なんて絶対にないわ」

「ふふっ、そうでしょうね」

「それなのに報告するつもり? 無駄だと思いますけれど。だってここはナリニーユ帝国ですもの……!」
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