魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
びしょ濡れで微笑むシャルレーヌの指示のまま、ロミは窓を開ける。
なるべく日が入らないように布を使って調整してくれていた。
生ぬるい風がシャルレーヌの頬をそっと撫でていた。
しばらく彼女たちのかわいらしい姿を思い出しては笑っていた。

(楽しみはあっという間に終わってしまうものね)

この後の展開は概ね想像通りだった。
医師たちがびしょ濡れになったままのシャルレーヌを見つけて大騒ぎ。
昨日よりも咳き込んでいるため、慌てて皇帝に報告。
誰にやられたかはおもしろそうだという理由から黙っていた。
けれど〝侍女〟だということだけは伝えておいた。

(今頃、いつバレるのかと震えているのかしら……可哀想に)

アナベルの侍女たちはここまで大事になるとは思っていなかったはずだ。
そのことを考えるだけで楽しく過ごせそうだ。
シャルレーヌのベッドのシーツなどはすべて綺麗になり、窓を覆う布もいいもの結果的には遮光性が高いものに変わった。
それだけでも満足なのだが、シャルレーヌは待っていたものがあった。

(いつ限界が訪れるかしらね……)

数日後、シャルレーヌが楽しみにしていたことが起こった。
最初にシャルレーヌの部屋から逃げ出した侍女が白状したのだ。
彼女はここ何日か眠れなかったそうで、ついに限界が訪れたように泣きながら自白した。

(彼女、なかなか強いのね……! 気に入ったわ)

それからアナベルの対応は早かった。
『わたくしを心配してくれたのでしょうね。けれどシャルレーヌ様にこのようなことをしてしまうなんて…………許されることではありませんわ』
そう言って、あっさりと侍女たちを切り捨ててしまった。
彼女たちは数日苦しんだだけで姿を消した。
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