パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語
人間界
 ーー その頃、人間界では東の国と西の国が激しい戦を繰り広げていました。

 武力に押され、日に日に追い詰められていく東の国。
 城内では、魔法の国からの助けを今か今かと待ちわびる焦燥感が渦巻いています。

「魔法の国からの返答はまだか!」

 大臣の苛立った声が響き渡ります。
 王座では王が不安げに眉をひそめ、その隣で妃は、膝の上の一羽のアヒルを静かに撫でていました。

「使いを出してもう一週間だぞ。敵は明日にでもこの喉元へ攻め込んでくるかもしれぬというのに!」

 大臣が怒鳴り散らしたその時、見張りの兵士が窓の外を指さして叫びました。

「来ました! 魔法の国からの使いです!」

 指さす先、高く澄み渡った空。

 そこには、ヴェネツィアの運河を渡るような優雅なゴンドラが、ふわりと浮かんでこちらへ向かって来ます。
 日傘を差し、ゆったりと腰掛けるパフェ。

 そしてその後ろでは、一人の船頭が空を漕いでいました。

 赤白の縞模様のシャツをはち切れんばかりに膨らませた、丸太のような腕を持つ逞しい男性。

 自慢の胸毛をのぞかせ、力強く棒を操っていますが、ズボンのお尻からはふさふさとした狼の尻尾が飛び出していました。
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