せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです
しかし、ジェシカの気持ちを知ってしまった途端に、それがどうにも耐えがたくなってしまった。
それまでに我慢してきた恋心は一気に溢れた。
止めることは不可能だった。
手を繋いで、学校を逃げるように抜け出し、体を重ねた。
世界からふたりだけが切り離されたようだった。
その間だけは、自分が婚約しているという事実を思い出しもしなかった。
ジェシカのことしか知覚できなかった。
そして、なぜかジェシカも同じように感じているような気がした。
自分とジェシカの心がぴったりとひとつに重ったようで、心地のいい感覚。
ジェシカと情事をおこなったあと、欲が生まれた。
彼女はヨルデン州立魔法カレッジに進学することが決まっている。
真面目で勤勉な彼女なら、きっと教員免許を取得できるはず。
そうして夢だった教師になるのだろう。
(でも、そのあとは?)
ヨルデン州立魔法カレッジ出身だからといって、ヨルデン州でしか教職に就けないわけではない。
(僕と結婚して、僕の住む街で教師をやることだって可能なはず!)