せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです

28. 家族がそろうとき

「お父さん……お母さん……」
「ジェシカか?」
「本当に?」

 ふたりはジェシカに駆け寄る。
 ハンスは腕を緩め、ジェシカとセシルを彼らに譲った。

「ああ、元気そうでよかった!」
「また会えると信じてた。ようやく会えたわ!」
「でも、どうして……?」

 ハンスが微笑む。

「僕だよ。知事の家に婚約解消のお願いに行ったんだけど、その後ロザリアが家を飛び出してしまってね。自棄になって、もしかしたら君のご両親の元に行ったんじゃないかと思って、思い切って訪ねてみたんだ。勝手なんだけど、君の話をさせてもらったよ」

 ジェシカの両親はハンスの説明に頷く。

「ロザリアがご両親のところに行ってないなら、こっちに来てるかもと思って、すぐに捜索のために戻ろうとしたんだ。そうしたら、ご両親も君たちに『会いたい』と仰ってくれて。だから、一緒にノーステリアに帰ってきたってわけだよ」

 両親は膝を曲げ、セシルに顔を向けた。
 セシルは不思議そうにしている。
 当然のことだが、状況が掴めていないようだ。

「きみがセシルくんだね?」
「はじめまして。あなたのおじいちゃんとおばあちゃんよ」

 セシルは目を見開く。

「僕の……?」
「ええ、そうよ」
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