せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです

 セシルは宣言通りに洗濯をがんばってくれた。
 そこで、洗濯だけでなく昼食の用意まで済ませてから家を出ることにした。

 この案に、セシルははじめ頬を膨らませた。
 けれど、ジェシカは威力絶大なひと言を放つ。

「そうすれば、午前中いっぱい図書館にいられるけど?」
「やったー!」

 ころっと態度を変え、ご機嫌で最後までお手伝いをしてくれた。

 鍋いっぱいに、といってもジェシカとセシル用のふたり用だからそれほど大きくはないけれど、スープを作る。
 安くて、少ない材料でもお腹がいっぱいになったと錯覚できるよう、歯ごたえのある野菜を入れてとろみをつける。
 具材の種類は季節によっては多少バリエーションがあるものの、いつもだいたい同じ。
 
「たくさんできたね」

 セシルはうれしそうだ。
 これだけあれば、3日間はもつはずだ。

「帰りにパンも買ってこようね」
「うん!」

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