せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです
翌日、職場の昼休み中に、マーサとリアナに誕生日祝いの報告をした。
特にチャームについては、ジェシカが製作する過程をふたりは見守り続けていて、よく知っていた。
「力作だもんね。喜んでくれてよかったわね」
「いよいよ入学式かあ。その日は全休を取るの?」
ジェシカは弱々しく微笑む。
「ううん、朝から出勤しようと思ってる」
マーサとリアナは身を乗り出す。
「どうして⁉︎ セシルくん、ガッカリするわよ!」
「そうよ、そんなのダメよ!」
ふたりの言うことも分かる。
けれども……
「式典に出席できるような服をもってないの。セシルに恥をかかせたくないわ」
それを聞いて、マーサは『そうね』と同情する。
しかし、リアナのほうは瞳を輝かせた。
「ねえ、デザインが古くてもいい?」
「えっ、それってどういう……?」
リアナはジェシカの疑問に答える。
「私の母さんが私の弟妹たちの学校行事に毎回着ていく服でよければ、たぶん貸せると思うの。弟妹たちは今年進級のみで入学式はないし。母さんとジェシカ、背もあんまり変わらないんじゃないかな」
リアナの父親が事業に失敗する前に購入したワンピースで、質は悪くないという。