せっかく凡庸な彼女が自ら身を引いてくれたのに、天才魔術士はそれを許すつもりがないようです
ジェシカと知り合ったのも放課後の図書館だった。
選抜科に所属していたハンスだったが、一般科のジェシカのことも顔と名前程度は以前から知っていた。
選抜科の間でも、”可愛い子“と認識されていた。
思春期に差しかかった頃から、男子たちはあの手この手で友達になろうとしていた。
そうして友達になることに成功した者たちは何人もいた。
が、友達止まり。
それ以上の関係に進めた話は一度も聞かなかった。
ハンスも、廊下ですれ違う度に、ジェシカの醸す雰囲気が気になっていた。
ふんわりと柔らかく、透明感があった。
それでいて、凛と歩く姿は、可愛いというより綺麗だと思っていた。
いつしか、機会があれば話をしてみたいと考えるようになっていた。
今思い返してみると、すでに惹かれていたのかもしれない。
だから、図書館で課題に悩んでいたジェシカを見かけたとき、チャンスだと思った。
迷惑がられるかもしれないという心配が頭をよぎりはしたが、迷わず声をかけた──