共依存の悪魔
<その夜>

クレマ
『ありがとうね、夕食の支度を手伝ってもらって。』

イステル
「これくらいさせてよ。」

お母さんがこんなに明るい表情をすることを、私は初めて知った。

お父さんに怯えていた頃は、ずっと影に覆われていたから。

イステル
「ルーシャ、お料理できたから、おナベ運ぶの手伝って。」

ルーシャ
『ごめん、今は持てないの…。』

イステル
「持てない?」

クレマ
『ルーシャは両手をケガしていてね…まだスプーンより重いものを持てないのさ。』

イステル
「そ、そうだったのね!ごめんね、私が運ぶよ!」

ルーシャ
『気にしないで、私も言ってなかったから…。』



◇◇

<翌日>

クレマ
『ありがとうね、食材の買い出しまで付き合ってもらって。今は外出も大変だから助かるよ。』

イステル
「う、うん…任せて!」

ルーシャ
『お母さん、靴履かせて。』

クレマ
『はいよ、立てるかい?』

ルーシャ
『うーん、うーん…。』

イステル
(杖…?)

ルーシャが松葉杖を使っていることに、昨日は気づかなかった。

イステル
「ルーシャ、足どうしたの?」

クレマ
『数年前に足をケガしてね、これでもかなり歩けるようになったんだよ。』

ルーシャ
『歩くの遅くてごめんね。』

イステル
「そ、そうだったんだ!先に行っちゃってごめん、ペース落とすね!」

ルーシャ
『ありがと…お姉ちゃんはやっぱり優しいね。』

ゾクッ…!
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