光王子と月夜のシンデレラ
「さて、目的の陶磁器に近づくよ」

会場の四隅に1つずつで計4つ、1メートルほどの台の上に、白色ベースにきれいな青色で模様が描かれた陶磁器は置かれている。
陶磁器の周りは透明なショーケースで覆われているため、触れることはできない。

私の左側に今宮くん、右側に陶磁器。
今宮くんが陶磁器に近い方がいいと思い、私は今宮くんの左側へ移動しようとする。

「いいから。こっちにいて」
「……?でも……」
「いいから」

今宮くんの視線は陶磁器のままで、何を考えているのかよくわからない。
ただ、鑑定の邪魔はしちゃいけないなと思い、私は何も言わずにそのまま今宮くんの右側にいた。

その後、他の3つの陶磁器を見る時も今宮くんは必ず私の左側、陶磁器からは遠い方にいた。
やっぱりよくわからないけれど、無事に4つとも見終わったようだ。

「……終わったんですか?」
「うん、簡単。あの入口近くの1つだけ偽物」
「え……」
「会場に入った時から違うなって思っていたけどね。この陶磁器は、この会場のようなシャンデリアに照らされると、白い部分が黄色っぽくなるんだよ。ある意味汚くくすんだように」
「へー……」
「あれだけは白いでしょ?むしろ青白くて綺麗。見た目はそっくりに模倣できても、光の当たり方とかは計算してなかったんだろうね」
「すごい……」
「まあ、よく見ないとわからないから確かにすごいんだけ……」
「ち、違いますよ!今宮くんがです!その知識、やっぱりすごいですね」
「いや、これくらい……」
「すごいですよ!何だか私まで嬉しいです!」

イケメンとかキラキラ王子とかそういうことじゃなくて、今の今宮くんは内側から輝いていてカッコいい。
恥ずかしくて直接伝えるのはハードルが高いけれど、目いっぱいの笑顔で喜ぶ。

「……せっかくだから、料理取ってくる」
「あ、私も……」
「いいよ。取ってくるから、そこから動かないでね」

一緒に取りに行くのにな。何だか今日の今宮くんはちょっと変……なんて思っていたら左隣から声が降ってきた。

「ふふっ、君かなり彼に愛されてるね」
「あいっ……!?」
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