光王子と月夜のシンデレラ
隣の席の、今宮 那都(いまみや なつ)くん。
数学や歴史、化学……といった科目だけでなく音楽から美術分野まで、膨大な知識がその脳内に詰め込まれている天才だ。
どの分野が、とかではなく、全てにおいて完璧なのだ。
もちろん成績は学年1位。

そして先程の通り、謙虚で人当たりも大変良い。
私とは正反対の、明るい陽の元で生きるキラキラ人間だ。

「佐倉さん、それ……ちょっと間違ってるかも」
「ひぃっ!な、なんでしょう!?」
「ごめんね、そのノート見えちゃって。そこの答え、マイナスが付くからそこは逆になって……」
「あっ、すみません……こ、ここですかね」
「その前の式だね、こっちからズレちゃってる」

ひいぃぃっ!ち、ちかっ……!
キラキラ星のイケメンが……近い。

そう、彼は顔もものすごくいいのだ。
天は彼に二物も三物も与えている……羨ましい、私にも少し何か分けてほしい。
いや、彼の隣の席ということを、すでに与えてもらっているのかもしれない。

「……わかった?」
「はっはい!お、おかげさまで……!」

あなたの顔が気になってあまり理解できませんでした、何て言えるわけもなく。

こんな感じで私は頭も平凡かちょっと下。運動も同様。
だから余計に、周りのみんなのすごさと比較して自信を持てず、積極的に輪に入っていくことができないでいる。

「あの、ありがとうございます」
「いつでも聞いてね」

自信はない、積極的にもなれていない。
けれど、卑屈でネガティブでいるのは違うと思って、私なりにみんなすごいなって思いながら楽しく過ごしている……つもり。
少しずつみんなと打ち解けて楽しい学校生活が送れるようになりたいな。
あとは……勇気とコミュ力だ!頑張れ私!


……1人気合を入れていたところに、ふと視線を感じて目線をノートから上げる。

「…………」

未だに私をジーっと見ている今宮くんがいた。
手元ではシャープペンシルをクルクルと器用に回している。
ひっ!かっこいい……かっこいいのだけれど……

視線を合わせてはダメだと脳内で警告音が響く。
いつもはほとんど話しかけてこないのに……

今は、今日は……この目から逃れたい。

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