光王子と月夜のシンデレラ
「佐倉、今宮を説得してくれ」
「はっ……はい!?」

今宮くんから逃れたいのに……
お昼休み、担任の田中先生に生徒指導室へ呼ばれ、そんな今宮くんと並んで座っている。

「この成績と能力だからなぁ、特待生を目指せって言っているんだが、固辞するんだ」
「は、はあ……」

特待生とは、学校内の成績や活動と「クエスト」を通して、優秀な生徒に送られる称号。
学業とクエストどちらかだけが優れていてもダメで、両方の面で模範になる生徒である必要がある。
毎年冬に特待生になるための試験があり、受かった人は学費免除にもなる、私には縁遠すぎる言葉だ。

「それで……なぜ私が?」
「お前のな……成績がヤバすぎるからだ!」
「ひぃぃ!」

まさか入学2カ月でもうそんなことを言われてしまうとは。自分が情けない。

「この学校の特性の通り、我々も成績だけで判断するつもりもない。佐倉の妙に高い「クエストスキル」も立派なことだし重宝したい」
「えへへ……」
「だが!お前の成績の不安はそれを越えている!」
「ひぃ!すみません!」
「だから!」

先生が前のめりになり、ニヤリと笑う。嫌な予感しかしない……

「せめて何か功績を残してくれ!それがまずは……今宮の説得だ」
「は、話が結びつかないというか……飛躍しすぎというか……」
「いいな!?」
「は、はい……」

あれ、勢いに押されて返事をしてしまった……

「話は以上だ。佐倉、頼むぞ」
「では、失礼します」

初めて声が聞こえて来た隣を見ると、表情を一切変えずに立ち上がる今宮くんがいた。
無表情なのが逆に怖すぎる。あのキラキラ笑顔はどこへ行った。
慌てて私も立ち上がり、生徒指導室を出ようとする。

「佐倉、成績も上げるんだぞ」
「はい……」

最後まで恥ずかしい……

そして、生徒指導室を出た私たちは……無言である。
今宮くんの前で成績をバラされた恥ずかしさよりも、色々な情報が多すぎて処理できずにフリーズしていた。

「あのさ……きの……」
「と、とりあえず私のことはお気になさらず!今宮くんのお昼の時間いただきすみませんでした!」
「あ、ちょっと……」

今宮くんの言葉をさえぎって、言い逃げをしてしまった。ごめんなさい。
でも、昨日のことだけでも混乱しているのに、特待生?説得?ついでに成績……どうすれば……
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