光王子と月夜のシンデレラ
■コードネームNo.72:ログⅡ
「目的というか目標のためにあまりしたくない」
いつかのみなとみらいにて、俺は佐倉さんにウソをついた。
更に言ってしまえば、佐倉さんを含めたクラスや学校のみんなにはずっと、もっと大きなウソをついている。
警備や潜入部隊が不足しているのは事実だけれど、別に強くたって鑑定士にはなれるし、強さがその道を閉ざすことはない。
俺自身が闘ってクエストをしたって問題ない。
なぜそんなウソをついたのか。
きっと……もう一つの大きなウソ――俺の特技に関して、俺自身が後ろめたさを感じているからだろう。
こんな人間が、特待生なんて目指してはいけない、と。
あれから着替えて中華街を出た俺たちは、山下公園を通り抜け大さん橋に来た。
くじらのせなかと呼ばれる、屋上デッキの芝生に座っている。また芝生だ。
港町を行き交う大小さまざまな船、波の音に汽笛の音、目の前にはみなとみらいの夜景、遠くには工場夜景。
「佐倉さん、俺の特技知ってる?」
「え……その膨大な知識というか頭脳……ではないんですか?」
「俺の特技はね……スリだよ」
「え……」
助けてくれたあの日と同じように、目を大きく見開いている。
失望しただろうか、怒るだろうか、離れていってしまうだろうか。
「この名刺はさっき会場を出る時に、入口に責任者っぽい人がいてその人の後ろポケットに入っているのが見えたから」
「……とってきたってこと?」
「……失望した?」
俺だって善悪の判断はつく。
これが褒められたものではないのはわかっているし、今までも家族と史郎以外には言わずに、使わずに過ごしてきた。
同時に、特技を頭脳だと思っている人たちからの称賛のたびに感じる後ろめたさから逃れたくて、他人とは上辺だけの関係で十分だと思って生きてきた。
思っていたのに……
彼女には失望されてもいいから伝えたい、本当の俺を知ってほしいと思ってしまった。
同時に、失望されたら終わりなのに何してるんだ、と後悔している自分もいる。
彼女といると、いつも矛盾や葛藤が沸き起こる。
いつかのみなとみらいにて、俺は佐倉さんにウソをついた。
更に言ってしまえば、佐倉さんを含めたクラスや学校のみんなにはずっと、もっと大きなウソをついている。
警備や潜入部隊が不足しているのは事実だけれど、別に強くたって鑑定士にはなれるし、強さがその道を閉ざすことはない。
俺自身が闘ってクエストをしたって問題ない。
なぜそんなウソをついたのか。
きっと……もう一つの大きなウソ――俺の特技に関して、俺自身が後ろめたさを感じているからだろう。
こんな人間が、特待生なんて目指してはいけない、と。
あれから着替えて中華街を出た俺たちは、山下公園を通り抜け大さん橋に来た。
くじらのせなかと呼ばれる、屋上デッキの芝生に座っている。また芝生だ。
港町を行き交う大小さまざまな船、波の音に汽笛の音、目の前にはみなとみらいの夜景、遠くには工場夜景。
「佐倉さん、俺の特技知ってる?」
「え……その膨大な知識というか頭脳……ではないんですか?」
「俺の特技はね……スリだよ」
「え……」
助けてくれたあの日と同じように、目を大きく見開いている。
失望しただろうか、怒るだろうか、離れていってしまうだろうか。
「この名刺はさっき会場を出る時に、入口に責任者っぽい人がいてその人の後ろポケットに入っているのが見えたから」
「……とってきたってこと?」
「……失望した?」
俺だって善悪の判断はつく。
これが褒められたものではないのはわかっているし、今までも家族と史郎以外には言わずに、使わずに過ごしてきた。
同時に、特技を頭脳だと思っている人たちからの称賛のたびに感じる後ろめたさから逃れたくて、他人とは上辺だけの関係で十分だと思って生きてきた。
思っていたのに……
彼女には失望されてもいいから伝えたい、本当の俺を知ってほしいと思ってしまった。
同時に、失望されたら終わりなのに何してるんだ、と後悔している自分もいる。
彼女といると、いつも矛盾や葛藤が沸き起こる。